- § 登場人物紹介
真紅: 第5ドールにしてアリス。行動力の化身。
雛苺: 失禁癖がスゴイ第6ドール。スゴイヤバイ。
翠星石: 庭師の如雨露から出てくる水が最近死んでいる第3ドール。
蒼星石: ヒトデに関する論文で博士号を狙っている第4ドール。
とにかく明るい金糸雀100%: 明るい。
珪孔雀: 運動オンチで、スキップができないらしい第8ドール。
水銀燈: ムーンウォークの練習をしているところを金糸雀に見られた第1ドール。
雪華綺晶: 「ごっつぁんです」がマイ流行語の第7ドール。
薔薇水晶: 暇すぎてついにRTAに手を出し始めた槐ドール。
- § 桜田ジュンの部屋
ジュン「溺れる! 溺れる!!」
真紅「ガバガバガバガバガバガバ…!」
翠星石「ゴボゴボゴボゴボゴボゴボ…!」
雛苺「あややややや…! 一度、漏れだしたら止まらないの~!」ジョビジョバーヌ
ジュン「や、やばい! 今日はいつもより本当にやばいぞ! す、翠星石…! nのフィールドへの夢の扉を開いて…!」
翠星石「わ、分かってるです! 今、運良く真紅が溺真紅と化して意識を失ったです…!」
溺真紅「……」ちーん
ジュン「ええ…? 運良いのか、それ」
翠星石「つまり真紅の夢を通じて、夢の扉が開けるってわけです! 急ぐ時は誰かの夢を使うのが一番! スィドリーム!」
スィドリーム「…!」しゃきーん
翠星石「開け! 夢の扉…!」
夢の扉『くぱぁ』ジュポポポポポ
ジュン「や、やった! 夢の扉が出現したぞ! すごい勢いで雛苺の尿を排出していってくれている!」
翠星石「こ、これで一安心です。チビ苺のお漏らしも、ようやく止まってきたようですし」
雛苺「ふぅ~…」プルプルプル
ジュン「気持ちよさそうにプルプルしてんじゃねぇよ!」
雛苺「うゆゆゆゆゆゆ! 怒らないでなのよジュン! 生理現象なの! ヒナにも止められないのー!」
ジュン「だからって今日の量は異常だぞ! どこでもドアで海とつながった、のび太の部屋みたいになってたろーが!」
翠星石「そうですよ! それに見ろですよ、この溺真紅の無残な姿を! えぇ!? おいですぅ!」
溺真紅「……」ちーん
雛苺「ご、ごめんなさいなのー!」ジワァ…
ジュン「な、泣くな! もう怒ってないから! しょ、しょうがないよな生理現象だもの」
翠星石「チ、チビ人間…!?」
ジュン(雛苺がぐずったら、泣きションでまた漏らすだろうが…っ)ヒソヒソ
翠星石「うっ…」
雛苺「怒ってないの? 本当ぉ?」
翠星石「ほ、本当ですとも勿論ですとも。溺真紅も必要な犠牲と見るですぅ…」
溺真紅「……」ちーん
ジュン「それに実際、これ以上雛苺を責めたところで失禁がコントロールできるわけでもないしな」
翠星石「っつーか、チビ苺が大量失禁し始めたのって、わりと最近ですよね…?」
ジュン「確かに。少なくともアリスゲームが終わってから…だよな」
雛苺「ヒナはよく覚えてないの!」エッヘン
翠星石「えばるこっちゃねぇですってば」
ジュン「それに明らかに雛苺の体積よりはるかに大量の尿が出てきている。これはどう考えてもおかしいだろう?」
雛苺「そうなの?」
ジュン「そうだよ!」
翠星石「いや、薔薇乙女は不思議系メルヘンファンタジーですから、そういうこともあるかと思っていたですが…」
ジュン「失禁の何がメルヘンだ、ファンタジーだ」
翠星石「今、深く推理してみた結果、チビ苺の体内で異常が起きているのは確定的と言わざるを得んです!」
雛苺「みょわわっ!? ヒ、ヒナ! 病気なの!」
翠星石「これは一度、分解フルメンテが必要かもしれんですよチビ苺!」
雛苺「ぶ、分解~!? い、いやなのー! ヒナ、バラバラにされたくないなのー!」ガクガクブルブル
ジュン「お、落ち着け雛苺! 大丈夫! 大丈夫だから! きっと薬飲むだけとかで済むから!」
雛苺「ふみゅみゅ…」
ジュン(雛苺を怖がらせるな! 失禁を再発させたいのか翠星石!)ヒソヒソ
翠星石「そ、そんなつもりでは…」
ジュン「とにかく、困った時の蒼星石だ! 蒼星石を呼べっ!」
翠星石「そんな『女将を呼べ』みたいに言われても、蒼星石がそう都合よくホイホイ現れるわけが…」
蒼星石「どうも僕です!」ヌッ
翠星石「出た!? ワオッ!」
蒼星石「ワオッ…て…」
ジュン「いつの間に!? どこから僕の部屋に入った!? 蒼星石はいつも薔薇屋敷だろう!」
蒼星石「桜田家にプシー粒子の発生が観測されたんだ」
ジュン「…は?」
蒼星石「それで、薔薇屋敷からnのフィールドを介した高度な空間歩法で僕が来た」
ジュン「え? 何? 空間歩法…?」
蒼星石「あれ? ジュン君、知らないの? しょうがないなぁ…、説明してあげよう」
翠星石「ぁあっーと、蒼星石! チビ人間はド忘れしているだけですぅ! 後で翠星石が復習させとくですから!」
蒼星石「そう?」
翠星石「そうですそうです! ですから今は、話を主題の解決の方向に持っていくです!」
ジュン「お、おい翠星石?」
翠星石(プシーとか歩法とか翠星石だって何一つ知らんです! けど蒼星石の説明はクッソ長いですよ)
ジュン「そうか…」
蒼星石「それで、何かトラブルが発生してるのは真紅と雛苺の二人かい? 仲良く寝ているようだけど?」
翠星石「えっ!?」
溺真紅「……」ちーん
雛苺「…zzZ」
翠星石「ぬぐぐ…! このバカちびぃ! 失禁疲れで寝やがったですぅ」
ジュン「むしろ寝ている方が好都合だ。蒼星石にも診てもらいやすいだろう」
蒼星石「失禁…? ジュン君の部屋が妙に臭いけど、これはジュン君の青春ではなく雛苺の失禁か」
ジュン「僕の青春は臭くねーよ、…多分」
翠星石「実はかくかくしかじかというわけで、何か最近になってチビ苺の失禁量が激増したのですぅ」
蒼星石「…興味深い。今日できないことが明日できるようになるのが僕達薔薇乙女だが、雛苺がそこまでとは」
ジュン「感心しないで。失禁しないとまでは言わずとも普通の尿量レベルに治らないものか?」
蒼星石「いやぁ、なんともかんとも。ただ、もうちょっと細かく状況分析をしないと」
翠星石「蒼星石の知能指数の高い頭脳でも考え込む案件。これは難題ですぅ…」
金糸雀「知能指数の高い頭脳と聞いちゃ黙ってられないかしら! 薔薇乙女のご意見番こと金糸雀がお邪魔するかしら!」ヌッ
蒼星石「邪魔するなら帰って」
金糸雀「辛辣!!」
翠星石「おいおいおいおいおいおいおいおいおいおいですぅ! 呼んでないのに今度はカナチビが登場ですか…?」
ジュン「どうやって入ってきた。お前もnフィーを介した高度な空間跳躍とか何とか…」
金糸雀「カナは以前、のりから貰った合鍵で普通に玄関から入ってきたかしら」
ジュン「いつの間にこんなもの渡してたんだよ、姉ちゃん…」
金糸雀「ともあれ、ここに再結集した翠蒼雛金探偵団がズバッと解決かしら~」
ジュン「翠蒼雛金探偵団…? 真紅は…?」
翠星石「それはまた今度話すんで、スルーしてくれですチビ人間」
ジュン「お、おう」
翠星石「カナチビもグダグダ言ってないで、推理ぶちまけるならさっさとしろです!」
蒼星石「……!」
翠星石「ほら、蒼星石なんて完全に心のカラ、ATフィールドに閉じこもって単独推理路線にどっぷりですぅ」
蒼星石「考えてます。あと少し…」
金糸雀「ふふん、それが蒼星石の悪いところよ。もっと広い視野で物事は考えなければ」
ジュン「うわぁ、言葉だけはごもっともだぁ…」
金糸雀「茶化さないでかしらジュン! カナは頭脳だけでなく、足も使って推理する乙女!」
ジュン「はぁ、そっすか」
金糸雀「これまで雛苺の色々な失禁シーンを見回ってきたからこそ言えることがあるわ!」
翠星石「チビ苺の失禁だけなら、翠星石達こそ毎日浴びるほど見てきたんですけど」
金糸雀「それは見過ぎぃ! 見過ぎてきたせいで、雛苺の大きな変化に気付けなかったのよ!」
翠星石「大きな変化…!? そ、それは!」
金糸雀「雛苺の失禁量の増え方には法則性があるかしら!」
翠星石「なっ…」
ジュン「なんだってぇー!?」
蒼星石「どういうことだい金糸雀!?」パリーン
翠星石「あ、蒼星石のATフィールドが割れたですぅ」
金糸雀「最近になるほど雛苺の尿量は非常識にインフレしている」
翠星石「そんなことは分かってるですよ」
金糸雀「本当に? じゃあ、客観的に確認していくかしら。今日は大海嘯の一歩手前レベルだった」
ジュン「うんうん」
金糸雀「そして今月初めぐらいのオクトーバーフェスでは、雛苺が失禁で温泉を掘り当てるレベル」
※蒼星石のオクトーバー噴出フェスト参照
蒼星石「そう言われれば…」
ジュン「え? あれって、今月…? そもそも今年の話…?」
翠星石「今年ですぅ」
ジュン「…ま、いっかぁ」
金糸雀「ちなみに次の日にはnフィーの町一つを失禁で沈めているかしら。その時に翠星石、蒼星石、真紅はいなかったけど」
※雛苺と黄金の泉参照
翠星石「マジですか! 町一つを!」
蒼星石「ええ、何それは。もう天災レベルじゃあないか」
ジュン「今日、翠星石が夢の扉を開くのが遅れていたら、うちだけでなく町内全域が床上浸水だった可能性が存在する?」
金糸雀「その町は逆に雛苺の失禁のお陰で繁栄して、カナの銅像まで建てられたんだけど聞きたい?」
翠星石「あ、それはどうでもいいです」
蒼星石「早く、検証作業に戻って。ほら、早くして」
金糸雀「……。それで、父の日の頃は尿量はまだそれほど多くなくて、ボス猫さんが飲み干せるぐらいだったわ」
※薔薇乙女のサンクスファーザー・リベンジ参照
翠星石「いたですね。そんなボス猫も」
ジュン「しかし、急に月が飛んだな。10月(オクトーバー)から6月(父の日)か」
金糸雀「説明しやすい具体例を選んでいるだけかしら」
翠星石「え? そういうのって…、ガバ穴理論なんじゃあ?」
金糸雀「オッホン。さらに遡って、4月(お花見)の頃は、さらに漏らす失禁量は少なかった…はず」
※蒼星石のクレイジー・ノイジー・プチ花見参照
蒼星石「それなら僕も良く覚えている。あれはまだ、粗相で片付けられるレベルだった」
翠星石「うーむ…、ということはつまり、どういうことなんですぅ?」
金糸雀「各時点の尿量をカナのクレバーな頭脳が推定し、それを時間軸にプロットすれば、尿漏れメイデンゼロが明らかとなる!」
蒼星石「尿漏れメイデンゼロ…!? 雛苺の失禁インフレが始まった日のことか!」
金糸雀「その通り。察しがいいわね蒼星石。そしてそれは天体の運行も考慮した複雑な補正が必要な方程式…!」
ジュン「マジでか!?」
金糸雀「ええ! そしてカナの金色の頭脳は既に方程式の解を算出済みかしら!」
翠星石「ど、どうしたですぅカナチビ!? 今日のカナチビはなんか、普通に役に立っているですよ!?」
金糸雀「カナはいつでもお役に立つ乙女かしら! 失礼しちゃうわね、もう…」
蒼星石「ごめんごめん。翠星石は素直に褒めているんだよ君を」
金糸雀「…そういうことにしておいてあげるかしら」
ジュン「それより、尿漏れメイデンゼロの時点の答えを早く…!」
金糸雀「ずばり、3月上旬! 雛祭り前後!! この頃に雛苺に何かクリティカルな出来事が起きていたはず!」
翠星石「雛祭り…!」
蒼星石「雛祭り…っ」
ジュン「うわぁ、なんだ…この…いかにも何か雛苺がやらかしてそうな季節イベント…」
蒼星石「ひょっとして常識を疑うレベルで甘酒を飲み過ぎたとか…?」
ジュン「それは雛祭り以前からの日常茶飯事だったはずだが…」
翠星石「あっあっあっ…、ああああ…! ま、まさか…! あ、あれが…!?」ガクガクブルブル
金糸雀「どうやら翠星石は思い出したようね雛祭りの時期に何があったのかを」
ジュン「何だ!? 何があったんだった? 翠星石?」
翠星石「うひぃいいいいい! こ、こんなはずでは…! 翠星石は…翠星石は悪くないですぅ…」ガクガクブルブル
蒼星石「ダメだ。翠星石が自分のカラに閉じこもってしまった」
ジュン「ええい! 双子の妹も妹なら姉も姉か!」
金糸雀「カナはばっちり覚えているかしら。だってカナもかなり酷い目に遭ったもの」
蒼星石「酷い目に…!?」
ジュン「くっ! 駄目だ! いつも真紅達のせいで酷い目に遭い過ぎているせいで心当たりが多すぎて出てこない」
金糸雀「ずばり! その日は、雛苺が庭師の如雨露の水をオーバードーズして巨神兵化した日よ!」
※雛祭りに向けてチビ苺がアップを始めたようです参照
蒼星石「あの日か…! 庭師の如雨露の水は大量摂取すると結構エグいことになる。巨神兵化だけで済まなかったのか」
ジュン「適当に遡ってそれっぽい事件を繋げただけのようにも思えるが、時期は一致している…のか」
金糸雀「ちょっ…! 適当じゃないかしら~! とにかく原因は翠星石の庭師の如雨露による後遺症よ!」
翠星石「あーあー! 聞こえなーい! 翠星石は何も悪くないデース!」
蒼星石「落ち着いて翠星石。誰も君が悪いと責めたいわけじゃあない」
金糸雀「そう、長々と尺を使ってしまったけど、原因をはっきりさせたかっただけかしら!」
ジュン「尺て…」
翠星石「そ、そうなんですぅ? じゃあ翠星石は許されたのですか? 大体、真紅のせいですもんね!」
蒼星石「ん? いや、まあ…それはどうかなぁ?」
翠星石「うぉおん! そこは優しい嘘で翠星石を許してくれですぅー!」
蒼星石「だ、大丈夫! 診断フェイズが終わったから、これから雛苺の治療フェイズに入る。そこで翠星石が頑張れば…」
翠星石「頑張れば…? そうか! 帳消しですね! 相殺ですね! ガンバルヤッターですぅ!!」ピョイーン
金糸雀「治療フェイズ? カナは原因究明までで治療方法まではまだ答えが出せてないんだけど…」
蒼星石「原因が庭師の如雨露であるならば、僕の庭師の鋏で相殺できるはずだ」
翠星石「相殺ヤッターですぅ!」ピョイーン
ジュン「そうか。けど、具体的にどうするんだ? まさか雛苺のケツに鋏を刺すとかじゃないよな?」
蒼星石「それも悪くないけど、薔薇乙女的にもっとスマートに解決したい」
ジュン「ケツも悪くないんだ…」
蒼星石「雛苺の心の樹に向かう。おそらく、樹の保水量がパンク状態になったんだろう、多分」
翠星石「ははーん…? なるほどですぅ。ちょっとずつチビ苺の体を通して、こっちの世界に水分を排出していたですか」
ジュン「なんで、そんな面倒な方法を…?」
蒼星石「そればっかりは心の樹の実物を見てみないと分からない。尿量がだんだん増えていったのは…」
金糸雀「心の樹が排出に慣れて量をどんどん増やしていったか、逆にコントロールがガバガバになった、よね」
蒼星石「そういうこと。よし、行くよ! いざ、nのフィールド!」
翠星石「いざ!」
- § nのフィールド・某所 雛苺の心の樹がある場所
ジュン「…ここが?」
蒼星石「うん。雛苺の心の樹が生えている場所のはず…なんだけど」
金糸雀「なんか池…というか沼みたいになっているかしら」
翠星石「まさか…チビ苺の心の樹は、この沼の下に沈んでいるですか…!?」
蒼星石「こういう状態だったなら、現世側に水を排出していたことにも合点がいく」
ジュン「長い間、沈んだままで…腐ったりしていないのか?」
蒼星石「かもしれない。排出量がガバガバになってきたのと関係があるかも。早く、この池の水をぜんぶ抜こう!」
金糸雀「いいけど。これ…、nフィーのビックリドッキリ生物とかがザッパーンと出てきたりしないかしら?」
蒼星石「出てくると思う。その証拠にワームホールワームの脱皮した抜け殻らしきものが湖底にチクリと見えた」
翠星石「ワームホールワームって…、その名の通り空間を越えてワームホールを開けるデカくてヤベー奴じゃねぇですか」
※薔薇乙女のうた『パジェロ・パジェロ・パジェロ』 参照
ジュン「あれ? 今度はちゃんと翠星石も知ってる情報なんだ」
翠星石「どうするんです!? 水抜きしながらワームホールワームの相手なんて…!」
蒼星石「だが、それがいい。その性質をうまく利用してやれば水抜きが一気にできる…かもしれない」
金糸雀「なるほど! わざとホールを池の底に開けて逃げるようにワームを追い立てれば!」
蒼星石「ワームホールワームは基本的には水棲。きっとこの沼にワームホールを使って移動してきたに違いない」
ジュン「ふーん、そういうものなのか」
蒼星石「流石にホールが開きっぱなしではワームにとっても不都合がある。普段は移動が終われば自分で閉じる」
金糸雀「空きっぱなしだと、自分の生活圏の水までホールに落ちちゃうものね」
蒼星石「だが、天敵に襲われるなど危険を感じた場合はその限りではない」
ジュン「ホールを開けて、それを使って逃げた後も開けっ放しってことか?」
蒼星石「そういうこと。あまり賢くはないから逃げることだけで頭が一杯になっちゃうんだろう」
翠星石「閉じちゃえば、それ以上は追われないのに馬鹿な奴ですぅ」
蒼星石「あ…、ただしワームに余裕があれば、そういう閉じる判断できちゃうこともあるから、かなり本気で追い立てないとだね」
翠星石「そうなんですか…」
蒼星石「というわけで頑張ってね、翠星石」
翠星石「…は?」
蒼星石「頑張って帳消しにするんでしょ? 自分の業(カルマ)を」
翠星石「いやいやいやいやいやいや! ですからデカくてヤベー奴なんですから、翠星石は戦うとかそういうのは…!」
ジュン「渋るなぁ。折角の見せ場なのに…」
金糸雀「ふふふ、ならばこの見せ場、カナがいただいちゃおうかしら?」
蒼星石「え? 金糸雀が?」
金糸雀(…ダチョウ倶楽部作戦よ! 後が続けば、きっと翠星石も)
ジュン「(…なるほどね) いや、だったらここは男の僕が!」
蒼星石「いやいや、むしろ僕が…!」
翠星石「……」しーん
金糸雀「…?」チラチラ
ジュン「…?」チラチラ
蒼星石「…翠星石?」
翠星石「寝てます。いません」チーン
蒼星石「今日2回目の心のカラだ。しょうがないなぁ、じゃあ本当に僕が行ってくるよ。命綱お願いねジュン君」
ジュン「え? マジで!?」
金糸雀「思い切りよすぎないかしら!? と言うか、翠星石を甘やかしすぎじゃない!?」
蒼星石「こうなった翠星石はワームより手強い。それじゃあ、蒼星石ダブルシザーダイバー! 行きます!」ドッボーン
ジュン「行きやがったよ! マジで! (…ダブルシザーダイバーって何だろう?)」
金糸雀「決断力が早すぎ! ジュン、早く命綱を掴んで! ロープが全部、池に入っちゃうかしら!」
ジュン「あ、ああ!」
- § 15分後
ジュン「大丈夫か蒼星石のやつ? 全然、浮かんでこないぞ」
翠星石「ああああ…、翠星石が忘我状態のうちに蒼星石が行っちまうなんて…ですぅ」ガクブル
金糸雀「蒼星石に限って失敗はないと思うけど…て、あれ?」ズズズズ
ジュン「なんだ、地響き…!?」ズズズズ
翠星石「ああっ! 池の水位が急激に下がり始めたですぅ!」ズズズズ
ジュン「やったのか! 蒼星石!」
金糸雀「間違いないかしら池が渦巻いている! 中でホールが開いたんだわ!」
ジュン「みんな! 命綱を離すなよ!」
翠星石「応ッですぅ! これぐらいのことは成し遂げたるですよ!」
金糸雀「水の抜ける音がどんどん激しくなっている! 終わりが近いかしら!」
ジュビ ビジュビジュビジュジュビ ビジュビジュビジュ・・・ ポンッ!
ジュン「おっ! 抜けたな」
金糸雀「綺麗さっぱり水がなくなったかしら!」
翠星石「水が抜けたから分かるですが、意外と狭くて浅めな池だったですね」
蒼星石「フー! 作戦完了! まったくもって計画通り! 雛苺の心の樹もワームホールの影響を受けなかった」ザッ
翠星石「うぉおお! スゲーです! ゴイスーですぅ! やっぱり蒼星石がナンバーワンです!」
蒼星石「落ち着いてさえいれば、翠星石が十分できる仕事だったんだけどね」
翠星石「そ、それは言わないでくれですぅ」
蒼星石「それに雛苺の日頃の行いも良かったってことかな。長く水没していた割には心の樹は傷んでいない」
金糸雀「それは本当に良かったかしら。もし私達が雛苺の心の樹の場所を知らなかったら、こうもスムーズにいかなかった」
ジュン「…ん? 姉妹同士で心の樹の場所を秘密にしてたりするのか?」
蒼星石「まあ、アリスゲームも終わった今じゃあ意味ないことだけど、弱点の位置を教えるみたいなものだからね」
金糸雀「今になっても自分の心の樹について話し合うことは姉妹間でも滅多にないかしら」
ジュン「そっか…。なんか意外と言うか、ギスギスしてるような感じを受けるな」
翠星石「まあ、そういうのはこれから長い時間をかけて良い方向に持っていくですよ」
蒼星石「人間とドールとでは、自分の心の樹に対する捉え方も多少は違うからね」
ジュン「うーん…」
翠星石「家族であってもケツの穴を見せあったりはしないですし、薔薇乙女にとっての心の樹はそんなものかもしれないですぅ」
蒼星石「す、翠星石…。そのたとえはどうかと思うけど」
ジュン「でも、なんとなく分かったかも」
蒼星石「これで察しないでジュン君」
翠星石「…それに蒼星石は翠星石にだけは自分の心の樹を見せてくれたですよね!」
蒼星石「そ、そうだけど」
金糸雀「カナもなんだかんだで水銀燈にしか教えたことないかしら、自分の心の樹」
翠星石「えっ!? おめぇ…今までよく無事でいられたですねぇ」
蒼星石「一番、警戒すべき相手だったろうに。策士ぶる君らしくもない」
金糸雀「教えたのは、アリスゲーム始まるよリずっと前だったし。まあ色々あったのかしら」
ジュン「色々…ね」
金糸雀「水銀燈には随分と怒られたかしら。姉相手でも、自分の心の樹の場所を軽々しく他人に教えるなって」
翠星石「珍しく性悪人形が正論はいてやがるですぅ」
蒼星石「実際、水銀燈は誰にも自分の心の樹について教えてないはずだ。それこそ、めぐさんやお父様にも」
金糸雀「…ッ!?」
翠星石「カナチビ、どうしたです?」
金糸雀「えっ…!? あ、いや…何でもないかしら! そ、それより…!」
翠星石「それより?」
金糸雀「時代も変わったんだし、いっそガールズトークか何かで姉妹全員、心の樹の場所をぶっちゃけあうってのは?」
蒼星石「いいかもしれないね、そういうのも」
ジュン「それはそれとして、雛苺は何も考えずペラペラと自分の心の樹の場所を既にみんなに喋っていたのか?」
金糸雀「そのパターンは翠星石だけかしら」
ジュン「えっ?」
翠星石「ちょっ…、カナチビ!? 翠星石は何も考えていなかったわけじゃあないですよ!」
蒼星石「翠星石は口が軽いと言うか、なんと言うか」
翠星石「うぅ…」
ジュン「翠星石はうっかり屋だとして、雛苺は…?」
金糸雀「そこが雛苺の凄いところ…」
蒼星石「雛苺は『自分に何かトラブルが起きた時、誰かに心の樹をケアしてもらわなければならないかも』ってさ」
ジュン「それって…!」
翠星石「まさに今日みたいな日のためにってことですぅ。あのチビチビはたまに神懸るですよ」
蒼星石「そのセリフを聞いた時は…、雛苺が一番アリスに近いかもって思ったよ正直」
金糸雀「カナもちょっと感動したかしら」
ジュン「全員に喋っているのは同じなのに、翠星石とはえらい違いだ」
翠星石「…もう一人いるですけどね。心の樹の場所を他の姉妹全員にオープンにしてるやつ」
ジュン「誰だ、それ?」
蒼星石「一応、今のアリス…なのかな?」
ジュン「真紅ゥ!? マジで? けど、あいつも翠星石と同じうっかりだろ?」
金糸雀「いや、全然違うかしら。そして、雛苺とは全くの逆のベクトルで凄いと思ったかしら」
蒼星石「真紅はね…、自分の心の樹の周りに対姉妹用の落とし穴とか罠を仕掛けまくったんだよ」
翠星石「んで、その後に偶然を装って自分の心の樹の場所を姉妹達に漏らしたのです」
ジュン「マジかよ、真紅最低だな」
蒼星石「違う、そうじゃあない。最大の弱点こそ最大の好機を生むエサになると真紅は考えたんだ」
金糸雀「そういう自分の信念を曲げない真紅が最終的には全てを手に入れ、また全てを譲りもしたってことかしらね」
ジュン「えぇ…、結果的に美談みたいになっているけど、罠のくだりだけ聞くとドン引きだよ」
翠星石「あっ、おいチビ人間。そう言えば、チビ苺の失禁が治ったか気がかりですけど、溺真紅も心配です」
ジュン「おっ、そうだな」
蒼星石「それじゃあ、帰りますか」
金糸雀「いざ、桜田!」
翠星石「カナチビは別に、みっちゃんちに直帰でもいいですよ?」
金糸雀「辛辣!!」
雛苺 ⇒ 尿量は常識的になったが、失禁癖は治らず。強化パーツとしてオムツを装着。
真紅 ⇒ 天に召された。
『雛苺の尸水ぜんぶ抜く作戦』 完了
- 関連記事
-
- :-:2018/09/30(日) 22:34:22
- 待望のローゼン話だぁ
ヒナはみんなを信じてるのね
- :-:2018/09/30(日) 22:35:46
- とにかく明るい金糸雀100%で草
今後も探偵団シリーズやってほしいです
- :-:2018/09/30(日) 22:45:28
- 水銀の恥ずかしいところを目撃したり、ケツ穴とまで言われる場所を教える…
カナの反応からして水銀もカナに心の樹の場所をおしえてるんですかね…姉妹の秘め事…カナ銀尊い…
- :-:2018/10/01(月) 01:37:50
- 一応ドールなので次回はサラちゃんが現れる現れない
- :-:2018/10/01(月) 03:13:11
- 雛おむつか…やるな…
- :-:2018/10/01(月) 08:30:10
- 真紅が召されてる……平和が訪れたんだ……
- :-:2018/10/01(月) 12:51:02
- 久々のローゼンありがとうございます
- :-:2018/10/01(月) 13:52:46
- ※144372
どうせ一日もすれば起きてくるかゴジラみたく死骸を基に新たな怪奇生物が生まれるかだろ
- :-:2018/10/01(月) 14:50:33
- >暇すぎてついにRTAに手を出し始めた槐ドール
ばらしーw
いったい何のRTAやってるんだかw
>ジョビジョバーヌ
もうすぐアニメ放送するからって、黄金の尿(ゴールデン・アバ茶)はまずいですよ!
管理人さんは脱糞や食糞だけではなく、失禁にも興奮するようになったのだ!!
>翠星石達こそ毎日浴びるほど見てきたんですけど
慣れすぎワロタ
でも冒頭の洪水を思えば当然過ぎてワロタw
- :-:2018/10/01(月) 15:35:51
- nフィー由来の失禁なら聖水として一儲けできるんじゃないか?
需要があるかは知らんけど
- :-:2018/10/01(月) 17:37:41
- 今度は宿便もぜんぶ抜こう(提案)
- :-:2018/10/01(月) 20:20:35
- >>ジュン「おっ、そうだな」
意識下なのか無意識なのか、これもうわかんねぇな。
- :-:2018/10/01(月) 21:02:40
- ローゼンSSウレシイ…ウレシイ…
>金糸雀「辛辣!!」
これすき
- :-:2018/10/01(月) 23:13:39
- 長らく定番ネタだった大量失禁に決着がついたの感慨深いものがある
- :-:2018/10/02(火) 02:24:25
- 弱点を教える=ケツの穴を見せるネタ大好きだなSLPYさん
つまりSLPYはケツ穴大好きのホモって事だな!
- :-:2018/10/02(火) 21:32:25
- 今回のワームさん描写と現在の真紅さんはなぁ…
活躍がロクに描写されない仕事でもサワヤカにこなしてくれた蒼星石
カナのように忘れられる事もなくてよかった
- :-:2018/10/04(木) 19:20:54
- 心の樹の場所に関するドールズのスタンスの違いが面白かった。
雛苺の大物っぽさがいいし、ちょっと軽い金翠もいかにも「らしい」感じ
銀蒼が彼女らにとって特別な姉妹にだけ打ち明けるのもいい…
真紅の罠には声出して笑ったけど好きだw
今回出演ナシのドールズはどんな風に自身の心の樹を扱うんだろう
- :-:2018/10/07(日) 02:10:04
- 銀と金コンビは仲良くていいよね
- :-:2018/10/11(木) 08:01:24
- 全員登場回も尊いけど、これくらいの人数のほうが好き
- :-:2018/10/31(水) 02:48:45
- タイトルなんて読むの