真紅、少し必死になる。
- 397 :真紅、少し必死になる。:2013/06/03(月) 22:01:06.99 ID:PdNCbuBc
- 真紅「忠犬ハチ公っているじゃない」
ジュン「……藪から棒に何を言う」
真紅「この日本で最も知名度の高い犬でしょ、ハチ公。私が敬愛して止まないくんくん探偵もハチ公には一歩譲っているわ」
ジュン「んー、まあ、そうかもな。で、そのハチ公がどうした?」
真紅「帰らぬ主人を待ち続ける犬の忠義。まさにサムライ、サムライ、ブシドー!
ゆえにハチ公は日本人のみならず海外からも惜しみのない賞賛を受け続けている」
ジュン「確かに。アメリカ映画にもなっていたな」
真紅「そういう熱く煮えたぎるような絆が私達ドールとマスターの間にも必要だと思わなくて?」
ジュン「……僕にハチ公になれって言うのか?」
真紅「違う違う。なんでそうなるのよ。立場的に私がハチ公でしょ?」
ジュン「え?」
真紅「え?」 - 398 :創る名無しに見る名無し:2013/06/03(月) 22:04:40.81 ID:PdNCbuBc
- ジュン「いや、いつもの真紅的に考えて、僕にハチ公のように服従しろとか命令するものだとばかり」
真紅「馬鹿ね。ジュンったら、もう」
ジュン「まさか自分からハチ公のように僕に尽くすつもりだなんて言い出すとは……
ロシアにもうひとつ隕石が落ちるんじゃなかろうか」
真紅「ロシアに隕石っていつの話よ。ともかく、私だって少しは弁えているわ。
さあ、私は今からジュンのハチ公よ。主人に絶対の忠誠を尽くす犬なのだワンワン」
ジュン「……」
真紅「というわけで、ジュンは早速列車に乗って旅に出て。そして旅先で不遇の死を迎えて頂戴」
ジュン「……は?」
真紅「帰らぬマスターを待ち続け、駅で健気に立ち続ける国民的超美少女真紅様。嗚呼……ただの犬でさえ、あれほどの美談に
なるのだから。もし私が同じことをしたとしたら、これはもうはっきり言って伝説! レジェンドになるわ! サンジェルマン伯爵や
アーサー王に匹敵する! あ、ゴメン! サンジェルマン超えちゃったかもしれない! 許してチョンマゲお父様!」
ジュン「……」
真紅「渋谷前のハチ公の銅像もこの真紅様の像に変更! 全国の小学校で最近は座り読みスタイルになっている
腑抜けたニノキン(二宮金次郎)も順番に真紅ちゃんの立像に総取っ替えよ! だ~わだわだわだわだわだわだわ!!」
ジュン「……」ガチャッ
真紅「あら! 早速、旅立ってくれるのねジュン。吉報……じゃなかった訃報を待っているわ!」 - 399 :創る名無しに見る名無し:2013/06/03(月) 22:11:13.41 ID:PdNCbuBc
- §真紅だけになった桜田ジュンの部屋
.ィ/~~~' 、 翠星石は薔薇屋敷で、雛苺は外の庭で遊んでいるし
、_/〃  ̄`ヽ} ジュンは若い命を散らしに行ったから
〃∩@ .!リノノリ))》 ここは今、真紅ちゃんだけの世界、真紅ちゃんだけの時間だわ。
⊂⌒||ヽ|| ^ω^ノ| よってリラックス乙女モード100%中の100%……、最高ね。
`ヽっ/⌒/⌒/c - 400 :創る名無しに見る名無し:2013/06/03(月) 22:14:13.60 ID:hAKIU6XT
- §15分後
ジュン「ただいまー」ガチャリ
真紅「!? ジュン、どういうこと!? 何でこんなに早く! しかもそんなにピンピンして!」
ジュン「商店街で文房具を買ってきただけだからな」
真紅「なんですって!? 貴方、私のハチ公宣言を何だと思っているの!」
ジュン「いつものくだらない戯言かと」
真紅「くっ! よくもズケズケと! ……しょうがない、ハチ公作戦は保留にしておいてあげる」
ジュン「ありがとよ」 - 401 :創る名無しに見る名無し:2013/06/03(月) 22:18:00.96 ID:PdNCbuBc
- .ィ/~~~' 、
、_/〃  ̄`ヽ}
〃∩@ .!リノノリ))》 ♪~♪♪~
⊂⌒||ヽ|| ^ω^ノ|
`ヽっ/⌒/⌒/c
ジュン「随分と御機嫌みたいだが真紅、その本、そんなに面白いの?」
真紅「ええ、面白いわ」
ジュン「錬金術と深層心理がどうたらってやつか? また?」
真紅「違う。これは『偉人変人列伝』。コンビニで買ったの」
ジュン「ああ、そういうのね」
真紅「こういう奇天烈な人物の中にはお父様の時代時代での仮の姿が
紛れ込んでいるかもしれない。そう思って眺めていると、実に興味深いものよ」
ジュン「ほへぇ~」
真紅「例えば、ほら、この人。鳥羽僧正。鳥獣戯画の作者とされていて
日本における漫画の元祖とも言われることのある人なんだけど……」
ジュン「うん? 歴史の授業で聞いたことあるような。その人のどこにローゼンっぽい要素あるんだ?」
真紅「死の際に弟子達から遺産の分配についての遺言を求められたそうなんだけど
その言葉が『腕力に由らしむべし』だったのよ」
ジュン「……リアルファイトで決めろってこと?」
真紅「乱暴に解釈すればね。私達のお父様っぽい感じもするでしょ」
ジュン「悪い意味でな」 - 402 :創る名無しに見る名無し:2013/06/03(月) 22:22:28.36 ID:PdNCbuBc
- .ィ/~~~' 、
、_/〃  ̄`ヽ}
〃∩@ .!リノノリ))》 ♪~♪♪~
⊂⌒||ヽ|| ^ω^ノ|
`ヽっ/⌒/⌒/c
ジュン「あと、細かいことだが、僕のベッドの上で本を読むのはいいとして、バタ足するのはやめてほしい。埃が立っちゃうから」
真紅「埃ごときで神経質すぎ」ホジホジ
ジュン「あっ!? おい、真紅! 今、取れた鼻くそを枕になすりつけたろ!?
何てことしやがるんだ!? それは黙って見過ごせんぞ」
真紅「何を馬鹿なことを。薔薇乙女は老廃物の類は出さなくてよ。ゆえに今、真紅ちゃんが出したものも
鼻くそではない。敢えて言うなら、暗闇の世界で紡がれたレクイエムという名の祝福。
ぶっちゃけ、鼻の穴に詰まった埃よ。食べても免疫力アップにはならないわ」
ジュン「ワケの分からん言い回しで煙に巻くな。と言うか食べて免疫力が上がるのかよ、鼻くそ。
ともかく、不衛生な行為には変わりない。そういうのはゴミ箱に捨てろゴミ箱に」
真紅「めんどくさい」ホジホジ
ジュン「ふざけるな」 - 403 :創る名無しに見る名無し:2013/06/03(月) 22:25:27.54 ID:PdNCbuBc
- 翠星石「ただいまでーす。お二人さん、廊下にまでデカい声が響いていたですよ~。一体、何を騒いでいるのですか」ガチャッ
真紅「あら、おかえりなさい翠星石」
ジュン「さっき薔薇屋敷に遊びに行ったばかりだと思ったのに、もう帰ってきたのか、早かったな」
翠星石「いやはや、薔薇屋敷では衣替えだとか大掃除だとかで大騒ぎですぅ。翠星石も手伝わされそうになったので
逃げ帰ってきたところです。蒼星石もおじじも突然の風に吹かれて夢中で何かを始めるから困るですぅ」
ジュン「ちゃんと手伝ってこいよ」
翠星石「で、今日の真紅とチビ人間の喧嘩の原因は? 真紅のヘソクリでも見つかったですか?」
真紅「違うわ。ジュンったら私が鼻の穴からデブリを放出しただけだというのに
それを鼻くそ呼ばわりして、汚物でも垂れ流しにしているかのように文句を……」
翠星石「かーっ! その程度でメザシを立てるたあ、チビ人間はケツの穴まで小せぇです」
ジュン「メザシ?」
真紅「目くじらの間違いじゃない?」
翠星石「そ、そうとも言うです」
ジュン「……ただでさえ最近は蒸し蒸しして不快度数が高いってのに。真紅をしかっていたら余計に不愉快になってくる」
真紅「しかられる方が不愉快だわ。私の身にもなってよねジュン」
ジュン「なんだと」
真紅「まあまあ、確かにすっきりしないわよね。この時季の日本は」
翠星石「まったくです。チビ人間の陰気がそのまま現れているようですぅ」
ジュン「……」 - 404 :創る名無しに見る名無し:2013/06/03(月) 22:27:52.68 ID:PdNCbuBc
- ジュン「……ところで、お前たちはその暑苦しいドレスを着たきりスズメだが平気なの?」
真紅「まあ、人形だからね。先も言ったとおり汗とか老廃物は出さないし。犬の毛皮と同じようなものよ」
翠星石「奴ら、足の裏の肉球からしか汗をかかないです。あとは舌ベロを常に出して、そこから熱を逃がしているですね」
真紅「くんくん探偵の神々しい、おベロもそういう超重要な生理的役割を持っているのよ」
ジュン「ああ、そう」
真紅「とは言え私達人形も貴方と同様に不快感だけはあるわ。エアコン点けたいんだけど
電気代節約令が出ている桜田家のお財布事情を鑑みて、我慢してあげている」
ジュン「ありがとよ」
真紅「さらに、このドレスもお父様謹製の英知の結晶。生きた被服。些細な汚れや損傷は光触媒的なアレやコレで自動洗浄
修復もされる優れものよ。シワや型崩れも、しばらく鞄の中で眠れば寝押しされてパリッと直るし」
翠星石「人工精霊の補助がつけばさらに仕上がりも美しく、寝押しの時間も短縮されるです」
ジュン「そういうのは寝押しとは言わないんじゃあ……。でも、その割には
そのドレスを姉ちゃんが洗っている場面を何回も見かける気がするが」
翠星石「ボス猿やチビ人間が綺麗好きすぎるだけです。週に何度も洗濯機を回すだなんて翠星石達には理解できんですよ」
真紅「汚れにドレスの機能が追いついていないって状態なだけよね。それも些細な埃がついた程度のものなのに。
そんなことだから日本人は免疫力が低いのよ! 枕なんか鼻糞だらけの方が健康上は良いのだわだわ」
ジュン「メチャクチャ言うな」 - 405 :創る名無しに見る名無し:2013/06/03(月) 22:33:05.14 ID:PdNCbuBc
- 翠星石「それはそうとチビ人間。ノートが欲しいので、くれです」
ジュン「ノートって……、文房具のノートか? いきなりだな」
翠星石「そうです」
ジュン「ノートぐらいならお安い御用だ。ほら」サッ
翠星石「だんけしぇーん。お礼にチビ人間が死んだらミイラにしてあげるですぅ」
ジュン「ありがとよ」
真紅「……ジュン、私もノートが欲しい」
ジュン「真紅もか。はい」サッ
真紅「いえ、私が欲しいのは日産ノート(※)よ」
※日産自動車が販売している乗用車
ジュン「んなもん用意できるわけないだろ。馬鹿かお前は」
真紅「なんですって!? 翠星石の要求には即座に応えたくせに!? さてはジュン! 私よりも翠星石の方が大事ってわけね。
えこひいきだわ! こいつはめちゃ許せんのだわ! 訴えるのだわ! 訴えて勝つのだわだわ!!」
ジュン「あーもう、だわだわうるさい! さっきからメチャクチャばかり言うなよ本当にまったく」
翠星石「真紅は誰にでも無茶振りするのが趣味ですからねぇ」
ジュン「困ったもんだ。ところでノートなんて何に使うんだ翠星石? 勉強なんかするようなキャラには見えないが」
翠星石「……実は、薔薇屋敷から帰る時に蒼星石からお土産をもらってしまったのです」
真紅「お土産? もらってしまった?」
ジュン「何をもらったんだ?」 - 406 :創る名無しに見る名無し:2013/06/03(月) 22:35:12.15 ID:PdNCbuBc
- 翠星石「アサガオの鉢植えですよ。それの観察日記をつけることを強いられてしまったのです。
夏休みの小学生じゃあるまいに……」
真紅「最近、庭師としてはだらけっぷりがひどいものね貴女。蒼星石がリハビリさせようとするのも納得だわ」
ジュン「ああ、ちゃんとまじめに日記をつけるんだぞ翠星石」
翠星石「そりゃまあ、翠星石だって真面目にはやるつもりですよ。そのためにノートだって
こうして準備したのです。しかし、不可抗力ってのも往々にして発生するですからねぇ……」ニヤリ
真紅「?」
ジュン「何だよその不敵な笑みは? 翠星石?」
翠星石「ですからぁ、翠星石はこうしてノートを手にやる気満々だとしてもぉ~
例えばその鉢植えが近所の悪ガキに壊されでもしたら、それは不可抗力です。観察日記打ち切りですぅ」
真紅「ま、まさか翠星石!?」
ジュン「鉢植えをワザと落として壊したりする気じゃあ!?」
翠星石「翠星石はそこまでド外道じゃねぇです」 - 407 :創る名無しに見る名無し:2013/06/03(月) 22:40:56.71 ID:PdNCbuBc
- 雛苺「……」ガチャッ
真紅「あら、雛苺? 貴女、庭で遊んでいたんじゃ……?」
ジュン「と言うか何だそのカッコは雛苺!? 砂や土でドロドロじゃないか!?
庭で何してたんだ!? とにかく一旦玄関へ戻ってちゃんと土を落とさないと」
雛苺「あ、あのね、それはそうなんだけど……」
翠星石「おやおやぁ? 何だか歯切れが悪いですねぇチビ苺? ま・さ・か・とは思うですがぁ~?
ひょ~っとして、翠星石が蒼星石から預かった大切な大切なアサガオの鉢を……?」
雛苺「ご、ごめんなさいなのー! ヒナ、ずっとネコさんとの相撲に夢中だったの! いつの間にか後ろにそんなに大切な
翠星石のアサガオの鉢が置かれていただなんて知らなかったのよ! うっかりぶつかってガシャンって……!」
翠星石「……」
ジュン「なっ!?」
真紅「なんですって!? 道理で雛苺、貴女少しネコ臭いと思ったわ!
今すぐ洗車場にでも行って、ドレスごと全身をフル洗浄してきなさい!!」
ジュン「……自動浄化機能があるんじゃなかったのか」
翠星石「ここまでドロンコ状態になっちまったら、暢気している場合じゃねーですよ。あと真紅は猫の匂いには
超敏感ですぅ。その感度は世の父親のタバコ臭さに反応するお母ちゃんと同レベルに達しているとかいないとか」 - 408 :創る名無しに見る名無し:2013/06/03(月) 22:45:09.27 ID:KoAuk5We
- 雛苺「うにゅにゅ! とにかくアサガオごめんなさいなのよ翠星石!」
翠星石「いいんですよチビ苺。チビ苺への注意を徹底していなかった翠星石にも非はあるです。
けど、蒼星石にはこの事態の全てを説明せねばならぬですぅ。チビ苺、蒼星石にも今の話をしてくれるですよね。
それさえちゃんとやってくれれば翠星石は何も怒ったりはしないですぅ」
雛苺「優しいのよね翠星石! うんっ! ヒナは蒼星石にもちゃんとごめんなさいするのよー」
翠星石「おうおう、いい子ですぅ。それじゃ早速、蒼星石に電話を……」
ジュン「ちょっと待て翠星石」
翠星石「……な、なんですか?」
ジュン「わざと雛苺とネコさんが相撲とっている傍に鉢植えを置いただろ」
翠星石「い、言いがかりにもほどがあるですよチビ人間! 翠星石がそんな卑劣な性悪人形なわけねーだろーがです!
名誉毀損です! こいつはめちゃ許せんですよ! 訴えるです! 訴えて勝つですぅ!!」
雛苺「わ、わざとなのよ翠星石? そんなカツアゲロードみたいなことを……?」
翠星石「ば、馬鹿チビ! 寝言は寝て待てですよ! この麗しのお姉様が
チビ苺に対して、今まで一度でもひどい目に遭わせたことがあるですか!?」
雛苺「ヒナ、翠星石には何度もいじめられているわ。青くて硬い桃を黄金の回転でぶつけられたこともあるの(※)」
翠星石「うっ!?」
※ 翠雛合戦・桃の陣 参照 - 409 :創る名無しに見る名無し:2013/06/03(月) 22:54:08.15 ID:KoAuk5We
- 翠星石「し、しかし! 証拠がねーですよ! 翠星石は鉢植えを庭に置いただけです!
それのどこが悪い行いだというのですか!? 少なくとも鉢を割ったチビ苺に責められる覚えはねーですぅ!!」
雛苺「ふみゅみゅ……」
真紅「……その割れた鉢植えってコレ?」がちゃっ
ジュン「真紅!? 急に姿が消えたと思ったら、外に出てたのか」
雛苺「そう、それよ! 真紅が今、手に抱えているアサガオなの! で、でも何で鉢が割れてないの?」
翠星石「し、真紅! まさか……」
真紅「庭に下りて、割れた鉢植えを確認しに行ったのよ。で、よく見てみたら、割れていたのは植木鉢だけで
破片や土は散らばっていたけど植物体に損傷はなかった。だから時間を巻き戻して、チョチョっと」
雛苺「そうだったわ! 真紅には時間を戻す時計があったの! ありがとう真紅ぅ~」
真紅「礼には及ばない雛苺。だからあまり近づかないで。さっきも言ったように貴女、かなりネコ臭いんだってば」シッシッ
雛苺「みょわっ」ガビーン - 410 :創る名無しに見る名無し:2013/06/03(月) 22:54:30.18 ID:hAKIU6XT
- 翠星石「うぬぬぬぬぬ……」
真紅「良かったわね翠星石。これで蒼星石に詫びも入れずに済むわよ」ニヤリ
翠星石「おのれ、真紅」
ジュン「しょうもない策を張り巡らせずに、大人しく観察日記をつければいいんだよ。このままじゃ、そのうち本当に
蒼星石から愛想尽かされるぞ。ただでさえアイツ、自分は姉離れしなくちゃと考えているフシもあるんだから」
真紅「それはないでしょうね多分」
ジュン「へ?」
真紅「アサガオの花言葉は『愛情』『平静』『明日もさわやかに』、そして……『私はあなたに絡みつく』よ。
薀蓄乙女の蒼星石が、そのあたりのことを踏まえずに贈り物をするわけがない」
翠星石「おおう……、そう言われると我が妹ながらゾッとするです」
ジュン「僕は、蒼星石のそういうメッセージがこめられたアサガオを
雛苺のせいにして、亡き物にしようとした翠星石の方が怖い」
雛苺「うぃ! そうよ! ヒナは翠星石の悪の肩ロースを担がされたの!」
真紅「『肩ロース』じゃなくて『片棒』」 - 411 :創る名無しに見る名無し:2013/06/03(月) 22:59:32.10 ID:PdNCbuBc
- 真紅「ほら、翠星石。このアサガオ今度は安全な場所に置いておきなさい」
翠星石「……らじゃーですぅ」トボトボ
ジュン「翠星石にも困ったもんだ。楽することばっかり考えるようになっちゃって」
真紅「アサガオの観察が嫌だからアサガオを潰すってのは完全にアウトな思考ね。庭師としてと言うよりも人形として」
雛苺「しかも自分では手を汚さずにヒナを利用したのよー」
ジュン「ゲスだな」
真紅「ゲスね。その一方、この真紅ちゃんはアサガオの鉢だけでなく雛苺と翠星石、蒼星石の関係性が
壊れかけようとしていたところも修復した。まさに主人公として、いえ正ヒロインとして慈愛に満ちた行いだわだわ」
雛苺「うぃー! 真紅には感謝しているのよー!」
ジュン「単に翠星石の思い通りにさせたくなかっただけのようにも思えるが」
真紅「うがったものの見方はやめて頂戴。私こそは薔薇乙女の調停役。
姉妹の和を以って尊しとなすのが真紅ちゃんのアリスゲームの進め方よ」
ジュン「うーん、立派だ。実にご立派なお題目だが、今日の僕の耳にはその金言の素晴らしささえどこか横滑りしていく」
真紅「何故?」
ジュン「多分、冒頭で真紅がハチ公の主人役を僕に押し付けたり鼻糞ほじっていたのが原因」
真紅「何度も言っているでしょ。あれは鼻糞をほじっていたわけではないと。鼻糞をほじるマイムよ。ローゼンパントマイム。
なみなみ外れた表現力を持つ私の所作によって、ジュンはあたかも私から瑞々しい鼻糞が出ていると錯覚しただけ」
ジュン「さっきと言い訳の内容が変わっているぞ、おい」
雛苺「真紅の記憶力は良いようで悪いのよね」
ジュン「そんなことばっかりしているから、たまに良いことしたとしても、何か裏があるんじゃないかと勘ぐられるんだ」
雛苺「真紅の好感度も地に落ちたものなの」 - 412 :創る名無しに見る名無し:2013/06/03(月) 23:02:01.66 ID:PdNCbuBc
- 真紅「馬鹿おっしゃい。私の好感度は薔薇乙女の中でもぶっちぎりナンバーワン。広瀬康一の3倍はあるはずよ」
ジュン「いけしゃあしゃあと。その自信はどこから出てくるんだよ本当」
真紅「え? だってそうじゃない。他の薔薇乙女達って誰も彼も好感度低いじゃない。ほら、こんな感じ(↓)でしょ。実際」
水銀燈←悪党
金糸雀←馬鹿
翠星石←性悪
蒼星石←空気読まない
雛苺←うざい
雪華綺晶←邪悪
薔薇水晶←パチモン
未来のアリスこと真紅様←高貴かつ清楚であまりにも神々しい
ジュン「あのなぁ……」
翠星石「なんとも聞き捨てならんですね真紅」ガチャッ
雛苺「あ、翠星石が戻ってきたの」
真紅「またアサガオの鉢を壊れやすそうなところに放置したりしてないでしょうね」
翠星石「ちゃんと置いてきたですってば。それよりも今の薔薇乙女評価はあんまりじゃねーですか?」 - 413 :創る名無しに見る名無し:2013/06/03(月) 23:08:59.82 ID:PdNCbuBc
- 真紅「何よ、文句があるっての? 所詮はアニメEDのテロップでもトップを飾れぬ者達のやっかみよね。
そんなのを気にかけるほど主役の真紅様はなまっちょろくなくてよ。間違ったことは言ってないわ、私は」
翠星石「そうかもしれねーですが、少しは他の薔薇乙女の体面というものを考えろですぅ。
真紅だけですよ、そうやって他の姉妹の欠点を楽しそうに話すのは」
真紅「事実をありのままに話すだけの何が悪いってのよ」
ジュン「感じが悪い」
真紅「うぐっ……!」グサッ
雛苺「あと自分だけ美化しすぎなの。ナルシストすぎてお寒いのよね」
真紅「ぬわっ……!」グサグサッ
翠星石「確かに、ちょっとアニメ化を意識しまくって真紅必死だな(笑)って感じですぅ」
真紅「あうちっ!!」ザックリ - 414 :創る名無しに見る名無し:2013/06/03(月) 23:19:49.64 ID:PdNCbuBc
- 真紅「……」ばたんきゅー
雛苺「どうしたのよ真紅? 急に倒れこんじゃって?」
ジュン「僕達の言葉の暴力による三本の矢がクリティカルのようだな」
翠星石「他人の欠点はずけずけ言うくせに、自分の事となると精神力が弱いですぅ」
雛苺「こんな豆腐メンタルじゃあ、とてもEDのトップクレジットは無理なのよね。
水銀燈が一番上に表示される可能性が高いのよ」
翠星石「うんにゃ! 今度こそ翠星石の時代が到来するはずです。翠星石が登場するまでの間は
真紅なり水銀燈なりで、しみったれたトップクレジットの座を争っていればいいですぅ」
ジュン「いやいや、そろそろ、この僕が一番目になるって線もありえるぜ」
翠星石「ないない! それはないですぅ! もしチビ人間がトップになったら翠星石は目でピーナッツ食べてやるですよ」
雛苺「それじゃ、ヒナは逆立ちして町内一周しちゃうの~」
ジュン「あ~っ! 言ったな~! こいつらぁ」
翠&雛&J『がっはっはっはっは』
真紅「……」グッタリ
真紅、少し必死になる。 【終】
2013/06/04 18:43:15 コメント10 ユーザータグ ローゼンメイデン