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290 :創る名無しに見る名無し:2013/05/10(金) 23:13:18.00 ID:flbVkhjp
真紅「愛しているわジュン」

ジュン「……は?」

真紅「聞こえなかったの? 愛しているって言ってるのよ。何度も言うのは無駄だから、三度目は言わせないでね」

ジュン「ええと、どうやら僕の耳にカスが溜まっているようだな。愛しているって単語が聞こえた気がするが」

真紅「気のせいではない、マジよ。本気と書いてマジと読む」

ジュン「……誰が誰を愛しているって?」

真紅「私がジュンを」


291 :創る名無しに見る名無し:2013/05/10(金) 23:14:22.64 ID:flbVkhjp
ジュン「オーケイ……落ち着け真紅。アニメ化が近くて自分の好感度を上げようと必死なのは分かる。
     しかし、そんな風にいきなり言葉だけで語っても、軽い感じしか……」

真紅「言葉だけではない、行動や態度でも私は全面的にジュンを愛するわ」

ジュン「何か最近、頭を強く打ったりだとか、水銀燈に殴られたりだとかしたか?」

真紅「そんなことはない。私は正常よ」

ジュン「じゃあ拾い食いしたろ? いつもダメだと言ってるのに。道に落ちてるものは食べちゃあいけませんって」

真紅「変なものを食べたりなんかもしていない。そこまで疑うのなら私がジュンを愛している証拠を見せてあげる!」

ジュン「しょ、証拠?」

真紅「ええ、だからまずは死んで頂戴ジュン」

ジュン「は?」

真紅「死んでしまった愛する人をミイラにする。それが最上の愛情表現なのよ!!」

ジュン(……そう言えば真紅達、昨日ZUTAYAで『ハムナプトラ』借りて見てたな)

真紅「分かるでしょ? 死者と常に永遠に寄り添っていたい。これ以上に美しい愛の形があると思って? ジュン」

ジュン「はいはい、そうでございますね。それで僕をミイラにしてくれるってことか」

真紅「イグザクトリー」

ジュン「ありがたすぎて欠伸が出るわ! 誰がそんなお前の好奇心のためだけに死ねるか!!」


292 :創る名無しに見る名無し:2013/05/10(金) 23:16:09.00 ID:flbVkhjp
翠星石「台所と風呂場の準備ができたですよ、真紅」ガチャッ

雛苺「道具も全部揃ったの」ヒョコッ

真紅「御苦労、翠星石に雛苺」

ジュン「見ないと思ったら、お前ら二人は台所と風呂場で何を準備してやがった?」

翠星石「それは企業秘密ですぅ」

雛苺「ねぇ、真紅。ジュンはそろそろ死んでくれそうなのよ?」

真紅「ええ、このネゴシエーター真紅の辞書に失敗の二文字は無い。
    手応えは感じているわ。あと一押しってところ。だからもうちょっと待って雛苺」

雛苺「わぁい」

ジュン「お前のネゴシエーションは交渉相手の意向は完全無視か」

翠星石「えええっ!? それじゃあチビ人間は翠星石達のために死んでくれないと言うのですか!?」

ジュン「当たり前だろ」

雛苺「ジュンのケチ!」

ジュン「ケチじゃない! 死んだら元も子もないっつーの」

真紅「……ジュン、『菩薩の道を行じ、兎身を焼く』という話を聞いたことがある?」

ジュン「今昔物語だな。国語の授業で習った。僕に月のウサギを見ならえってか」

真紅「ええ、そうよ。なんだったらジュンの功績を称えて、月の土地を桜田ジュン名義で購入してあげてもいい」

ジュン「その購入代金だって、ウチの金を使うつもりだろ」

真紅「何と言おうが、薔薇乙女のマスターになったんだから、その命はドールのものよ。今死ぬか、後で死ぬかだけの違いじゃない」

ジュン「ふざけるな」

真紅「ふざけてなどいない。ちゃんと『巻きますか』『巻きませんか』の契約書の裏側にミカンの汁で書いておいたわ。
    契約者の人権、生命、財産は全て真紅様に譲渡されるという旨を」

ジュン「炙りだし……ッ!?」

真紅「前にも言ったかもしれないけど、隣の世界のジュンは、そのギミックに勘付いて『巻きません』に丸を付けたのよ」

翠星石「あのデカチビ人間はできる男ですぅ」


293 :創る名無しに見る名無し:2013/05/10(金) 23:17:24.58 ID:flbVkhjp
真紅「というわけで死んで頂戴ジュン。今すぐ、ここで」

翠星石「庭先に切腹の準備も整えてあるです。大和男子なら
     サムライの本分を全うし腹を切れです。介錯も翠星石達三人でしてやるですから」

雛苺「ヒナ、十文字腹(※)が見た~い」

※切腹の作法。腹を横一文字に切った後、みぞおちからヘソの下まで縦に切る。難易度高い。

ジュン「……」

真紅「この機を逃して、いつ切腹するというのジュン!? 今でしょ!」

ジュン「さて、宿題でもするかな」クルッ

翠星石「ぬおおお! 待ってくれですチビ人間! 翠星石達は本気なのです!
     本気でミイラ作りに青春をかけているんですよ。腑分けした内臓を入れるカノプス壺だってピカピカに磨いたです」

ジュン「冗談で言ってるんじゃないのなら尚更に悪いわ!」

雛苺「ヒナ、ミイラ作りたい~~~! 死体の鼻の穴に棒を突っ込んで、脳ミソ引きずり出す作業がしたいの~!」

真紅「私達のささやかな夢を叶えさせて頂戴! ジュン!!」

ジュン「ええい! 恐ろしい願望をわめき散らすな! 出ていけ! 宿題の邪魔だ!!」


294 :創る名無しに見る名無し:2013/05/10(金) 23:22:22.57 ID:flbVkhjp
§桜田家・一階・リビング

翠星石「ううう、追い出されてしまったです」

雛苺「ひっく……、ぐすっ! ジュンはミイラになりたくないのよね。ロマンがないの」

真紅「……」

翠星石「何が『私の辞書に失敗は無い』ですか! 真紅!!」

真紅「貴女達が先走るからよ。私一人に任せてもらえていたら、こんなことには……」

翠星石「翠星石達が悪いってのですか!?」

雛苺「うにゅにゅ、どっちにしろ、もうジュンをミイラにしてあげることはできないわ」

真紅「いや、まだ頑張りましょうよ」

翠星石「頑張るって何を……ですぅ?」

真紅「サラダ油ある?」

雛苺「うぃ! ジュンから内臓取った後、体を清めて塗るために用意したのがあるの」

真紅「それを階段にこっそり撒きましょう」

翠星石「ッッ!? し、真紅……!?」

真紅「なぁに、既にジュンには学校の階段から落ちて気絶して入院した実績がある。
    と言うか本編では未だに昏睡状態真っ最中なんだけど」

雛苺「本編?」

翠星石「あまり深く考えない方がいいですよチビ苺」

真紅「そのジュンが自宅の階段で不慮の事故を起こしても不思議はない」

翠星石「おおおおおお……、真紅の瞳に漆黒の殺意が宿っているですぅ」

雛苺「し、真紅……!? ほ、ほんとうにヤる気なのよ!?」

真紅「あのね、私達はマスターと契約した時点でマスターの生命力を掠め取り続けている。言わば『緩やかな殺人』!」

翠星石「そ、それは白薔薇や槐の唱える極論ですよ。マスターとドールの関係は寄生ではなく共生のはずです!!」

真紅「片害共生かもしれないじゃない」

※寄生や共生は大雑把には両者の利害により以下のようにカテゴリー分けされる。

片方に利益があり、片方には損害がある場合は『寄生』。
片方に利益があり、片方には利益も損害もない場合は『片利共生』。
片方に損害があり、片方には利益も損害もない場合は『片害共生』。
両方に利益がある場合は『相利共生』。

ただし、両者の関係が複雑な場合は一概にコレと決めることはできない。


295 :創る名無しに見る名無し:2013/05/10(金) 23:23:15.92 ID:flbVkhjp
翠星石「と言うですか、どうせ人間の寿命は短いです。あと50年もすれば
     チビ人間も死ぬですから、それまで待つというのはどうですぅ?」

真紅「日本人、寿命長いわよ。ジュンのようなモヤシですら、いけしゃあしゃあと80~90ぐらいまで生きるからね。
    それに私達は萎びた老人よりも若人のミイラが作りたいはず」

翠星石「そ、そうでした」

雛苺「ジュンが死ぬまで、待つだけってのはちょっと退屈なのよね」

真紅「ここは目的のために自らの手を汚す覚悟が問われている場面よ翠星石」

翠星石「ですが……」

真紅「ですがですが、って……、翠星石、貴女それ……『翠星石、貴女それ』よ!!」

翠星石「えええ……?」

真紅「今こそ決断の時。『撒きますか?』『撒きませんか?』(サラダ油を階段に)」

翠星石「うーん、しゃーねーですね。よし、ここは思いきって撒くです!」

真紅「では早速、油を持ってきなさい雛苺」

雛苺「うぃ」


296 :創る名無しに見る名無し:2013/05/10(金) 23:24:39.22 ID:flbVkhjp
§階段

雛苺「♪ぬ~りぬ~り」

真紅「あまりたくさん塗りつけてはダメよ雛苺。表面がベトついたりテカったりして、ジュンにさとられてしまうわ」ヌリヌリ

翠星石「さっと薄く塗るのがベストですね」ヌリヌリ



真紅「これでよし……と。綺麗に油が塗れたわ」

翠星石「真紅」

真紅「何? 翠星石?」

翠星石「何も考えずに翠星石達は階段の下から上へと順番に登りながら油を塗ったせいで、このままだと1階に降りられんです」

雛苺「そ、そう言われれば翠星石の言うとおりなの!」

真紅「……」

翠星石「真紅……」

雛苺「真紅ったら後先考えずに計画を行動に移したのよね」

翠星石「……のりの部屋にでも隠れるですか?」

真紅「馬鹿おっしゃい。油が塗ってあると分かっていればフツーに注意しながら階段を下りるぐらいできるわよ。見てなさい」スッ

雛苺「あ!」

翠星石「真紅! 無茶はよすです! 大人しく適当な部屋で休憩……」

真紅「ギャアアアアアアアアアアアアッ」どんがらがっしゃーん

雛苺「にゃーっ!? 真紅が全く踏ん張りもせずに、転げ落ちたの!」

翠星石「階段を下りるどころか、階段で直立すらできていなかったですね」


297 :創る名無しに見る名無し:2013/05/10(金) 23:25:42.60 ID:flbVkhjp
ジュン「おい!? どうした!? 今の大きな音は……!?」ドタタ

翠星石「あ」

ジュン「……この匂いは!? 油か!? 階段に? 何だよコレは!」

翠星石「ぬあっ!? チビ人間に気付かれてしまったです!」

雛苺「真紅のせいでヒナ達の苦労が水の垢なのよ!」

翠星石「それを言うなら水の泡ですよ」

ジュン「やっぱりお前達の仕業か!? 階段に油ぶちまけて何を企んでいた!?」

翠星石「こ、これはですね……! その……あの!」

雛苺「えぇと、うーんと……!」

翠星石「は、波紋の修行をしていただけですよ! チビ人間!!」

ジュン「波紋~~~?」

翠星石「地獄昇柱(ヘルクライムピラー)ならぬ地獄昇段(ステアウェイ・トゥ・ヘル)です」

ジュン「……で、階段の下でピクリとも動かず倒れている真紅は何なんだ?」



真紅「……」ぐったり



翠星石「危険な修行に犠牲はつきものですぅ」

雛苺「うぃ! 真紅の波紋はまだ未熟! この修行に挑戦するのが早かったのよね」

ジュン「やかましい! あの真紅の首のほぼ直角に折れた曲がり方はヤバいだろ! 人形だからいいものの
     人間だったら死んでるぞ! ほら、早くティッシュや雑巾で階段の油を拭け! 真紅を助けに降りる!」


298 :創る名無しに見る名無し:2013/05/10(金) 23:29:16.03 ID:e5Rr02jL
§小一時間後

真紅「ふぅ、ありがとうジュン」グラグラ

ジュン「動くな。まだボンドが乾いてない、首が取れる」

真紅「私は貴方に助けられてばっかりね。申しわけない」グラグラ

ジュン「そう思うのなら、少しはおしとやかにしていろ」

翠星石「ボンドじゃ心許ねーです。もっと強力なアロンアルファを使ったらどうです?」

雛苺「うぃ! 瞬間接着剤よ!」

真紅「アロンアルファは沁みるから嫌い」

ジュン「……沁みるんだ」

真紅「けれども私が無茶できるのはジュン、本当に貴方がいるお陰」

ジュン「……」

真紅「私と貴方の間に野太い信頼という絆があるからこそ」

ジュン「真紅……」

雛苺「ヒナもジュンのことは信じているのー!」

翠星石「す、翠星石だって、まあちょっとは頼りにしてやらんこともないですぅ」

真紅「この私達とジュンとの奇妙な関係をうまく言い表す言葉を私は見つけられない。
    でも、ひょっとしたらこの感情、この気持ちを人は愛と呼ぶのかもしれない」

ジュン「真紅、頭の打ちどころが悪かったか」

真紅「いいえ、私は大真面目。最初にも言ったとおり、あいらーびゅー、あいにーぢゅー」

雛苺「ヒナもジュンを愛してる~!」

翠星石「翠星石のあり余る愛も、チビ人間に慈悲で恵んでやっているですよ」

ジュン「雛苺……、翠星石」

真紅「だからジュン、この愛の証に貴方をミイラにしたい。許可を」

ジュン「言っていることが分からない。イカれてるのか? この状況で」


299 :創る名無しに見る名無し:2013/05/10(金) 23:29:45.25 ID:Q/hDtx1C
§台所

翠星石「またもやチビ人間に追い払われたですぅ」

雛苺「ヒナ達はこんなにジュンを愛しているのに、どうしてミイラにさせてくれないの~?」

真紅「分からない。人間の心情の機微というものを理解することは人形の私達にはまだまだ難しいのかもね」

翠星石「じゃ、ミイラ作りはやっぱり諦めるしかないですか」

真紅「いえ、まだ頑張りましょうよ」

翠星石「頑張るって……真紅、またチビ人間の命を狙う気ですか?」

真紅「人一人の命を狙うのはちょっとリスクが高すぎる。さっきの階段事件のように
    下手すると私達が命を落としかねな……、あっ! こういうのを『ミイラ取りがミイラになる』って言うのね」

雛苺「勉強になったの」

翠星石「ほいじゃ、チビ人間を狙わずに次はどうするというのですぅ?」

真紅「魚にしましょう」

翠星石「魚ぁ~? 急にグレードが下がったですね」

真紅「ミイラのメッカ、古代エジプトでも鳥や獣、魚のミイラの前例はあるわ。
    人間のミイラ作りにいきなりチャレンジするよりも取り敢えず魚で練習しておくのも悪くないとは思わなくて?」

雛苺「うぃ! ヒナ達が上手にミイラが作れるのをジュンが知ったら、自分をミイラにしてと向こうから言ってくるかもなの」

翠星石「ふぅむ。成程、一理あるです。真紅はやはり賢いですね。
     思い返せばヤングブラックジャックも魚で手術の練習していたですし」

真紅「では、雛苺。冷蔵庫から適当なお魚を探してきて」

雛苺「うぃ~」トテテ


300 :創る名無しに見る名無し:2013/05/10(金) 23:33:42.53 ID:Q/hDtx1C
雛苺「真紅、真紅ぅ……」

真紅「どうしたの雛苺? ひょっとして冷蔵庫に魚がなかった?」

雛苺「お魚は今、お刺身しかないの。持ってきたけど、これをミイラにするぅ?」

翠星石「この馬鹿チビ! 刺身をミイラにしても楽しくねーですよ。丸ごとのお魚だからこそ、やりがいってものが生まれるのですぅ」

雛苺「うみゅみゅ……。イカなら丸ごと一匹あったのよ。こっちも一応持ってきたけど」

翠星石「イカ……ですか。ううむ、魚ですらなくなってしまったですが、真紅?」

真紅「イカねぇ。まあ、この際だし、『イカでいいか』……なんちゃって」

雛苺&翠星石「……」ひゅるりら~


301 :創る名無しに見る名無し:2013/05/10(金) 23:34:05.49 ID:e5Rr02jL
§作業開始

真紅「では、これよりイカのミイラ作りを始める。準備はいい? 二人とも」

翠星石「当然」

雛苺「うぃ! お刺身を食べたから気力体力ともに満ち満ちているの!」

真紅「まず、イカのえんぺら、俗に耳と言われる部分を下にして置き胴体の中心部分に包丁を入れ、開いていく」

翠星石「ゲソがとれないように気をつけろですよ真紅」

真紅「大丈夫。任せなさいって。よし、開けた。次にイカの足の中心に包丁を入れ
    軟骨を断ち切り、目玉とクチバシを取り外す。雛苺、カノプス壺をこちらへ」

雛苺「どうぞなのよ真紅!」ササッ

真紅「イカの目玉とクチバシは珍味なので、この壺に保管し、あとでのりに煮つけにしてもらいましょう」

翠星石「晩御飯が楽しみですぅ」

真紅「さて、イカの身が完全に開けたら上部より内臓類を手で丁寧に引っ張って引き剥がす。
    この時に内臓を傷つけて破ったりするとイカの身に匂いが移ってしまうので慎重に」

翠星石「そーっとです! そーっとですよ真紅」

真紅「内臓の中でも肝は塩辛を作る時の原料や調味料になるのでこれだけは別に分けて保管する。
    雛苺、新しいカノプス壺を。肝臓用と、それ以外の内臓用のと2種類をね」

雛苺「うぃ!」

真紅「次に、触手をしごいて吸盤をこそぎ落とす。吸盤が残っていると食味を損なうので、ここも丁寧に」

翠星石(……食味?)

真紅「内臓も吸盤も取れたら、イカの表面のヌメリを取るため塩あるいは塩水で、揉むように洗う」

雛苺「ジュンの体に擦りこもうと思って準備したから塩はたくさんあるのよ」

真紅「ぬめりが取れたら、今度は抗菌作用と、ほどよい膨潤効果を期待してオイルを軽く塗る……んだけど」

翠星石「サラダ油の方は階段で全部使っちまったですよ」

真紅「しょうがない。それじゃあ天下のオリーブオイルを使いましょう。イカにささっとふりかけるぐらいはあったはず。雛苺?」

雛苺「これよね! はい、真紅!」

真紅「ダンケシェーン」


302 :創る名無しに見る名無し:2013/05/10(金) 23:41:07.51 ID:Q/hDtx1C
真紅「うん。これは香りの強い、良いオリーブオイルだわ。目をつむれば地中海の強い日差しと、潮のさざめきが眼前に広がるよう」

翠星石「これラベルに純国産のオリーブオイルと書いてあるですが……」

真紅「……」

翠星石「ほれ、ここですよ、ここ。『小豆島(※)で獲れたオリーブで作りました』って、でっかい文字で」

真紅「……」

※瀬戸内海の播磨灘にある島。香川県に属する。オリーブの国内栽培の発祥地。


303 :創る名無しに見る名無し:2013/05/10(金) 23:41:24.15 ID:e5Rr02jL
真紅「さて、ついにミイラ作りのクライマックスよ。塩と油で清めたイカの身を丸まらないように竹串を刺して
    開いた状態に固定する。これを77日間、干して乾燥させる。天日干しか陰干しかは好みや流儀によって異なる」

雛苺「えええっ!? 77日もかかっちゃうのぉ!?」

真紅「機械を使えばもっと早くできるけどね。しかし、それだと熟成期間が足らず、旨味に乏しいものとなってしまうわ」

翠星石(……旨味?)

真紅「けれど、心配ご無用。ここに既に77日間干したものを用意してありまーす!」

雛苺「わぁい!」

翠星石「真紅……」

真紅「何、翠星石?」

翠星石「これ、のりが買ってきていたオヤツ用のスルメですよね……?」

真紅「なななな、何を馬鹿言ってるの翠星石。イカのミイラよ」

雛苺「そうよ! 翠星石にはこれがスルメに見えるの!?」

翠星石「色つやといい、食欲をそそるほのかな香ばしさといいスルメ以外の何物でもないと思うのですが……」

真紅「いいわ。翠星石、仮にこれがスルメだとしても、それはスルメという名前のミイラよ」

翠星石「無茶苦茶言うなです真紅」

真紅「文句を言うのなら貴女はこれを食べなくても結構」

翠星石「食べる!? やっぱスルメじゃねーですか!」

真紅「あのね、ミイラは古来より薬用として人々に摂取されてきていた。食べるというのはミイラに対して自然な行為よ」

翠星石「ぬうっ!?」

真紅「当然、将来ジュンをミイラにした時も、完成の暁には皆で賞味する。食べることによって愛する人との融和を図るという
    それはとてもとても高尚な愛情表現なのよ。暴走してマスターの生命エネルギー食い尽くすのとも違う」

雛苺「食べちゃいたいくらい愛してるのー!」

翠星石「そ、そうだったのですか。どうやら翠星石はまだまだ愛について勉強不足だったようですぅ……」

真紅「分かればいいわ。それじゃあ皆でこのスルメ……じゃなかったミイラを炙って食べましょう」

雛苺「わぁい!」

翠星石「わぁい!」


304 :創る名無しに見る名無し:2013/05/10(金) 23:43:30.27 ID:flbVkhjp
ジュン「……? 何だ? スゴイいい匂いをさせているな」スタスタ

真紅「あらジュン? 宿題はもう終わったの?」クッチャクッチャ

雛苺「ご苦労様なのよね」クッチャクッチャ

ジュン「あ!? コラ! これって、スルメを炙った匂いか! また台所で火を勝手に使ったな!? あれほど危ないからと……!」

翠星石「まあまあ。ほら、チビ人間にも炙りたてのスルメを分けてやるですから。
     勉学に勤しんで腹も空いているだろうですぅ? ほれほれ」

ジュン「むう、確かに。この香ばしい匂いには抗いがたいものがあるな」

真紅「遠慮しなくていいわジュン」

雛苺「飲み物も用意してあるの! 一緒にスルメでお茶会しようよ~!」

ジュン「そうだな。こういうのも悪くない……か」

翠星石「おおう、チビ人間がこちらになびいていくれるとは珍しいですね」

真紅「これもミイラの持つ霊験あらたかな効能のお陰。やはり、いつかはジュンもミイラに……」



真紅、ミイラを作る。『終』



この後、勝手に夕飯のおかずの刺身を食べてしまったり
イカを捌いて放ったらかしにしていたことがバレて、三馬鹿はジュンとのりからきつく怒られることになる。

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2013/05/11 14:02:22 コメント15 ユーザータグ ローゼンメイデン

コメント

※98118 :No name:2013/05/11 14:12:19
青島副船長、こいつらです
※98120 :No name:2013/05/11 14:45:53
しれっとお刺身食いやがってと思ったらしっかり怒られていた
※98122 :No name:2013/05/11 15:02:05
真紅の愛は羽のように軽いな
※98123 :No name:2013/05/11 15:05:04
炙ったスルメ食べたい
※98127 :No name:2013/05/11 15:23:13
お前らの 目指すアリスは もうメガテンに出てるから!
※98129 :名無しさん:2013/05/11 16:56:19
イカの扱い手馴れてんなwww
※98132 :No name:2013/05/11 18:26:55
まぁ料理が上手って言うのはある意味アリスっぽい気もするな
※98134 :No name:2013/05/11 19:02:25
もしジュンがいいよって言ったら、
こいつらはマジでジュンを捌いて干してたんだろうか
※98137 :No name:2013/05/11 19:18:01
チャッキーレベルの呪い人形とかシャレにもならないよ
何が怖いって、三体もいるのに誰もブレーキになる人形が不在なこと…どうしてこなた
※98138 :No name:2013/05/11 19:54:35
早く他のお姉ちゃん達を呼んでくるんだ!早くしろ!
※98142 :No name:2013/05/11 22:11:48
やったジュン真→ですよね
とんだB級ホラー乙女だな
※98156 :No name:2013/05/12 00:52:29
人をミイラにしようとする人形って
ガチで呪い人形じゃねーかw
※98161 :No name:2013/05/12 02:51:08
「撒きますか」で思わず吹いた。
※98166 :No name:2013/05/12 14:18:22
あぶり出しに気づくとかビッグジュンやるな
遊び半分で殺しにかかる辺り原作きらきーすら軽く上回るヤバさなんですがそれは
※102299 :No name:2013/08/30 11:48:33
真紅「ですがですが、って……、翠星石、貴女それ……『翠星石、貴女それ』よ!!」


あれ…まいてはいけないローゼンメイデン……?

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