翠星石は花粉症に憧れる
- 75 :創る名無しに見る名無し:2013/03/25(月) 20:16:25.95 ID:XWk4qDTU
- ジュン「へーっくしょい!」
真紅「ハッチョン!」
雛苺「あっちゅむっ!」
翠星石「おやおやぁ? 三人して風邪ですか? ゲズントハイト(お大事に)ですぅ~」
ジュン「違う。これは風邪じゃない。花粉症だな」ズズ
真紅「私も」グスグス
雛苺「ヒナもよ」グシグシ
翠星石「花粉症~~っ!? 肉体的にも精神的にも虚弱なチビ人間はまだしも。
『薔薇』乙女が『花粉』症ですと!? 笑えねェ冗談です」 - 76 :創る名無しに見る名無し:2013/03/25(月) 20:22:31.78 ID:XWk4qDTU
- 真紅「そんなこと言ったって……ヘップチ!!」
雛苺「くしゃみが止まらないのヨックシ!!」
ジュン「薬も飲んだのに全然おさまらない。目も耳の穴まで痒い……」シパシパ
真紅「もう我慢の限界だわ! 雛苺、あれをやるわよ!! 洗面器を持ってきて」
雛苺「うぃ! ヒナも今、そうしようと思っていたところなの!」スタタタ
ジュン「アレ?」
雛苺「持ってきたわ、真紅」トテテ
真紅「ダンケ。それじゃ翠星石、洗面器の中にスィドリームの甘くて冷えたお水を張ってちょうだい」
翠星石「ほぁ?」
真紅「いいから、早く」
翠星石「わ、分かったですよ。健やかに伸びやかにっとくら」ジョロジョロ
真紅「よし、まず私のからお願いするわ雛苺」
雛苺「うぃ! その後は交代で真紅がヒナのを洗ってね」
ジュン「?」
真紅「よっと」スポッ
ジュン「あ!? 自分の目玉をとりやがったコイツ!!」
真紅「はい、よろしくね雛苺。優しく洗ってちょうだい」ポイッ
雛苺「了解よ」パシッ
ジュン「放り投げるなよ自分の目玉を……」
雛苺「うぃ~! スィドリームのお水で綺麗に洗うの~」ジャブジャブ
翠星石「ぬぅ! 翠星石渾身の清水を目玉洗浄に使われるとは……」
雛苺「目玉を洗うにはスィドリームのお水に限るのよ」ジャブジャブ
真紅「ええ、仕上がりの爽快感が違うわ、爽快感が。都市圏の水道水はカルキ臭くて、とてもとても……」
ジュン「そんなことないだろ。水道局の人だって努力してんだぞ」 - 77 :創る名無しに見る名無し:2013/03/25(月) 20:23:19.04 ID:XWk4qDTU
- 雛苺「はい、真紅! お目目のお掃除が完了なの! 次はヒナのお目目を洗ってなのよね!!」
真紅「任せてちょうだい。あ、そうだ! ジュンの目玉も洗いましょうか?」
ジュン「人間は目玉の取ったり付けたりを簡単にできないの」
真紅「不便な生き物ね。ならば鼻うがいはどう?
スィドリームの甘露なら鼻の奥に入っても痛くない、むせたりなんかもしなくてよ」
ジュン「マジで? そりゃ凄い。よし翠星石、僕にもスィドリームの水を一丁!」
翠星石「うぬぬ……スィドリームをこんな事で働かせる破目になるとは」
雛苺「真紅ぅ~、早く早く~~、ヒナのお目目を洗って~~」スポッ
真紅「はいはい。分かっているわ」 - 78 :創る名無しに見る名無し:2013/03/25(月) 20:25:59.30 ID:XWk4qDTU
- §小一時間後
雛苺「洗ってもらってスッキリしたけど、すぐまた痒くなってきたの~」グシュグシュ
ジュン「……だな。ずっと洗ったり、うがいし続けるわけにもいかないし」ズビズビ
真紅「最早、自分の目玉を舐めるぐらいしか方法はないわね(※)」ベロベロ
※真紅さんは訓練の末、舌を伸ばして自分の目玉を掃除することができる(真紅と記憶の海の屠る稲妻参照)。
ジュン「それ乙女的にも人形的にもアウトだから二度とするなって言っただろ」
真紅「今日だけは勘弁してちょうだい。花粉の飛散量がマジで異常よ。鼻の穴も舐めて掃除したいぐらいなんだから」
翠星石「鼻の穴まで舌でほじくったら、新アニメにはもう出ることができねーと思っとけです真紅……」 - 79 :創る名無しに見る名無し:2013/03/25(月) 20:28:39.36 ID:XWk4qDTU
- ジュン「へぇーっくしょ!」
真紅「はぶちっ!!」
雛苺「あっぷちゅ!」
翠星石「……」
ジュン「びへっきし!」
真紅「なむるっ!!」
雛苺「ちゃんぷらっ!」
翠星石「うーん、三人だけ仲良くクシャミのユニゾンで楽しそうですぅ」
ジュン「全然楽しくねーよ」
真紅「花粉症になった者にしか、この辛さは分からないわ」
雛苺「なんとかは風邪ひかないって言うけど、花粉症にもならないのよね」
翠星石「なんですとー!? チビ苺のくせにナマイキです! 翠星石だって本気出せば花粉症の一つや二つ……!」
ジュン「おいおい」
翠星石「……と意気込んだものの、どうやったら花粉症になれるですか?」
ジュン「知るかそんなもの。なろうと思ってなったりできるものじゃあない」
真紅「気がついた時には既に花粉症になってしまっているものよ。ある日突然に」
翠星石「うーむ、まるで新手のスタンド攻撃か、恋心みたいなもんですね。とは言え、桜田家の面々は
知恵が足りないですから、ここは薔薇乙女の知恵袋に相談しに行ってくるですぅ。ではサラバ!」
雛苺「うにゅにゅ!? どこ行っちゃうのよ翠星石~?」
ジュン「くっ! 嫌な予感しかしないから何としても取り押さえたいところだが」
真紅「この室内ですら花粉症に苦しんでいる私達が翠星石を追って外出するだなんて自殺行為だわ……!」 - 80 :創る名無しに見る名無し:2013/03/25(月) 20:32:51.35 ID:XWk4qDTU
- §薔薇屋敷
金糸雀「なるほどなるほどかしら~! それで翠星石は薔薇乙女の『知恵』袋であるカナを頼りに来たのね!
うむうむ、感心な妹かしら! 愛い奴じゃ近う寄れ」
翠星石「……なわけねーだろーがですカナチビ。翠星石は蒼星石を訪ねに来たんですよ? 何でお前がここにいるです?」
蒼星石「いるのは金糸雀だけじゃないよ。めぐさんと水銀燈と雪華綺晶もいる」
めぐ「いぇーい! 久しぶり翠星石ちゃん! どう? スィドリーム元気ぃ?」
水銀燈「……」
雪華綺晶「……」
翠星石「おおぅ!? なんだか珍しい顔ぶれですねぇ」
一葉「お茶会だよ」
翠星石「お茶会ぃ? この翠星石に何の断りもなくですか蒼星石? 水銀燈や白薔薇を誘っておいて翠星石には連絡せずに!」
蒼星石「君に言わなかったのは悪いと思う。けど、僕は基本的に真紅派閥じゃなくて水銀燈派閥だから」
翠星石「ぐっ!? そういや昔そんなことを言っていたですが、マジな発言だったのですか……」
めぐ「心強いわよね、水銀燈」
水銀燈「私は別に蒼星石にそんなことを頼んだ覚えはない」
雪華綺晶「まあまあ、青薔薇のお姉様なりにパワーバランスを考えてのことですよ」
水銀燈「桜田家にどれだけドールズが集中しようが相手は私一人で充分。
むしろ蒼星石が桜田家について、ようやくバランスは保たれるんじゃなくて?」
翠星石「うぬぬ、相変わらず無駄に自信たっぷりな御人ですね。
と言うですか、金糸雀と白薔薇もここにいるということは、てめぇらも水銀燈派閥ですか?」
金糸雀「カナは独立勢力よ。真紅派閥に対するスパイだけじゃなく、今日は水銀燈勢力のスパイに来たのかしら!」
水銀燈「ペラペラと何でも大声で喋るアンタのようなスパイがいるか」
雪華綺晶「私は柿崎めぐと一心同体ですので」
翠星石「むぅ……。カナチビのやることは正直どうでもいいですが
真紅やチビ苺が小さな世界で馬鹿やっている間に外界ではいろいろと動きがあったのですね」
一葉「そう深く考えることはあるまい翠星石。みんな本心では仲良くしていきたいだけだよ」
蒼星石「マスター……」
水銀燈「ちょっとぉ! 話を変な方向に持っていかないでよ、じいさん」 - 81 :創る名無しに見る名無し:2013/03/25(月) 20:39:49.36 ID:XWk4qDTU
- 蒼星石「……で、話を元に戻すけど翠星石は花粉症になりたいんだって?」
翠星石「そのとおりですぅ。チビ人間と一緒にくしゃみのコーラスを奏でたいです」
一葉「花粉症になんてならない方がいいに決まっているのだがな。
私とて重症ではないが、今日の花粉には少し参っているところだ」
水銀燈「花粉ごときに悩まされるだなんて、人間も随分と退化したものねぇ」
めぐ「真紅ちゃんや雛苺ちゃんまで花粉症になっているというのが少し気になるけど」
雪華綺晶「ローゼンメイデンは高性能な人形ですからね。
もしくは、マスターである桜田ジュンとのシンクロ率が高いせいで、花粉症まで共有してしまったとか」
金糸雀「翠星石だけ花粉症じゃないってのは、マスターに対する愛情が足りないせいだと?」
翠星石「失礼な推論を立てるなです白薔薇にカナチビ。それはそうと蒼星石?
なんかスッゲー勢いで人を花粉症にさせる花粉を出しちゃう植物とか育てていたりしないですか?」
蒼星石「ない」
翠星石「ぬうう! 肝心な時に役に立たない妹です!」
めぐ「翠星石ちゃん! 考え直しましょうよ!」
翠星石「うん? 急に声を荒げてどうしたですか生き損ない?」
めぐ「花粉症は立派な病気よ。それに好き好んでなりたいだなんて」
翠星石「……」
めぐ「あなた、病気になるってことがどういうことだか本当に分かってるの!?」
水銀燈「めぐが言うと説得力あるようで、ないのよね……」
金糸雀「あ、そう言えばめぐが元気になったのは雪華綺晶のお陰かしら。
だったら逆に雪華綺晶なら翠星石を病気にできるんじゃなくて?」
雪華綺晶「確かに。できないことはないですね」
翠星石「お! マジですか?」
雪華綺晶「しかし、花粉症だけを狙うのは不可能です。
『心臓がいたみ』『指がはれ』『せき』がとまらなくなる病気になら今すぐにでも、することが可能ですが」
蒼星石「ジョースター卿やダリオ・ブランドーと同じ症状だね」
めぐ「あれって病気じゃなくて中毒だったんじゃあ……」
翠星石「ど、どっちにしろ遠慮するです。花粉症以外はノーサンキューですよ」 - 82 :創る名無しに見る名無し:2013/03/25(月) 20:44:09.05 ID:XWk4qDTU
- 蒼星石「どうしてもと言うのなら、花粉を集めてモリモリ食べるというのはどうだい?
この方法で花粉症になれる可能性は高くないと思うけど……」
一葉「食べる? 花粉を?」
蒼星石「ええ、花粉症発症のメカニズムの詳細は不明なのだそうですが
個人の体内にある閾値(いきち)以上の花粉に晒されると発症するという説があります」
めぐ「いきち? 血液より花粉の量が多くなるってこと?」
蒼星石「生き血じゃなくて閾値。ある反応を起こさせる最低限量の刺激のことだ。
これが個々人で違うから花粉症になる人とならない人がいる。そしてこの花粉の刺激は蓄積するので
自らの閾値を越えた時にその人の花粉症が始まってしまう。だから突然、発症したように見える」
翠星石「へぇー、へぇー」
蒼星石「さいわい、ここの庭園にはいろいろと花が咲き始めてきている。花粉集めには苦労しないはずだ」
一葉「ただでさえ、スギ花粉もバンバン飛び回っているしな」
翠星石「よーし、それじゃあ皆で花粉集めですよー!!」
水銀燈「あのね! 何で私達がアンタのしょーもない願望のために働き蜂みたいなことをしなくちゃいけないのよ!
やるんだったらアンタ一人でやりなさい」
翠星石「妹には優しくしてくれですよぉ、お姉ちゃん」
水銀燈「こういう時ばっかり姉扱いしないでちょうだい。大体ね、今、私達は神聖なお茶会の最中よ。
それをぶった切って翠星石アンタが乱入してきたことをも忘れたの?」
めぐ「あ、水銀燈ったら蒼星石の誘いにいやいや来た感じだったのに本音ではこのお茶会を大切なものだと思ってたのね」
水銀燈「ッッ!」
雪華綺晶「……くすくす」 - 83 :創る名無しに見る名無し:2013/03/25(月) 20:48:06.84 ID:XWk4qDTU
- 翠星石「しゃーねーです。水銀燈は手伝ってくれないとしてもカナチビや蒼星石は手伝ってくれるですよねー?」
蒼星石「断る」
金糸雀「カナも」
翠星石「なんとぉーーー!?」
蒼星石「マスターも重度ではないと言え花粉症だ。そんな花粉集めなんかして僕が花粉まみれになるとマスターに迷惑がかかる」
金糸雀「カナもみっちゃんに迷惑はかけられないかしら」
翠星石「ぐぎぎぎぎぎ……」
雪華綺晶「翠のお姉様」
翠星石「あん? なんですか白薔薇? お前だけは手伝ってくれるとでも?」
雪華綺晶「いえ、私もこのお茶会の方が大事です。たとえ狂った茶会だとしても。
しかし、お姉様の力にもなりたい。よって、ブサ綺晶をお貸ししますわ」
ブサ綺晶達『ききっ! うきき!』ゾロゾロ
めぐ「あら懐かしい子達が一杯」
水銀燈「ちっ。どっからでも際限なく湧くわね。まるで害虫よ」
ブサ綺晶達『きききー』ワラワラ
翠星石「ぬおっ! まとわりつくなです! す、翠星石はお前達には、あまりいい想い出がないのですよ!
気絶してる時に勝手に運ばれたりだとか」
雪華綺晶「ならば、この機に親交を深めるのもよろしいかと……」
水銀燈「花粉集めの働き蜂としては最適じゃなぁい、女王様?」
翠星石「く……」
蒼星石「過去の遺恨さえ忘れれば、これ以上の協力者はないと思うよ翠星石」
金糸雀「蒼星石もこう言ってるかしら」
翠星石「わ、分かったです。よーし、こうなったらとことんやるですよブサ綺晶ども!
言っとくですが、翠星石はスパルタですからね! 白薔薇のように甘やかしはしないですよ。では花粉採集に行くです」
ブサ綺晶達『きーっ!』ゾロゾロ - 84 :創る名無しに見る名無し:2013/03/25(月) 20:50:56.99 ID:O1Kv1Faj
- 水銀燈「やれやれ、ようやく厄介払いができたわね。これでお茶会が再開できる……」
めぐ「けど、ちょっと不安よね。ちゃんとブサちゃん達を統率できるのかしら翠星石ちゃん」
雪華綺晶「ま、その時はその時ですわ」
金糸雀「わりと無責任かしら雪華綺晶」
水銀燈「末妹はいつでも無責任よ」
蒼星石「それはそうと、お茶が冷めてしまったね。淹れなおしてこよう」
一葉「私も手伝うよ蒼星石」 - 85 :創る名無しに見る名無し:2013/03/25(月) 21:01:45.87 ID:XWk4qDTU
- §薔薇屋敷の庭園
ブサ綺晶「ききっ」
翠星石「おおっ!? 早くも花粉団子を一つ持ってきたですか!
やるですねぇ~。チビ苺よりも有能ですよ!! では早速」モシャモシャ
ブサ綺晶「……ききぃ?」
翠星石「うんうん、まあ、それなりには美味ですが口の中がパッサパサになるですよ。
そして団子一つぐらいでは、花粉症になる兆候すらなしですね。おらおら、もっと沢山の馳走を用意せいです!」
ブサ綺晶「きっ!」シュタタタ - 86 :創る名無しに見る名無し:2013/03/25(月) 21:06:15.13 ID:XWk4qDTU
- §お茶会
蒼星石「そこで僕はラプラスの魔にこう言ってやったんだ。『そのローザミスティカは僕が彼女にあげたものですよ』ってね」
めぐ「え~本当!? すごーい! なかなか言えることじゃないわよぉ!」
水銀燈「……」
雪華綺晶「耳が痛いですわね黒薔薇のお姉さま」
水銀燈「うるさい」 - 87 :創る名無しに見る名無し:2013/03/25(月) 21:21:30.40 ID:XWk4qDTU
- §薔薇屋敷の庭園
翠星石「もぎゅもぎゅ……。うん、これはスミレの花粉団子ですね? どうです? 今度は当たってるんじゃあないですか?」
ブサ綺晶「きーききっ!」
翠星石「ふっふっふ、驚くほどのことじゃあねーですよ。まろみが違うです、まろみが」
ブサ綺晶「ききき」
翠星石「次はそっちの団子の正体を当ててみろ? ほっほー、この翠星石の舌を試そうというのですか? 小癪な」パクッ
ブサ綺晶「どきどき……」
翠星石「ん? んんー? この複雑怪奇な苦み……そしてジャリジャリとした舌触り!?
噛むたびに漏れ出る汚水にも似た悪臭! なんですかこれはブサ綺晶! 本当に花粉ですか?」
ブサ綺晶「きー!」
翠星石「PM2.5と黄砂の詰め合わせぇ!? 何を食わせとるですかテメーは!!」ブハッ
ブサ綺晶「ききーっ!」ションボリ
翠星石「まったくもう! ただでさえ花粉ばっか食べてて口の中がパサパサ祭りなのに、さらに余計に喉が渇いてきたです」
ブサ綺晶「き?」
翠星石「あん? スィドリーム? スィドリームは真紅やチビ人間にこき使われたせいで今は水不足ですよ。
ですからブサ綺晶、今度は花粉だけでなく蜜とかも集めろです」
ブサ綺晶「きっ! ききき~」
翠星石「ん? 自分たちのアストラルを花粉と混ぜ合わせることで
さらに喉ごし爽やかな疑似ロイヤルゼリーも作れる……ですと? どーして、そういうことをサッサと言わないですか!」
ブサ綺晶「きき」
翠星石「なになに? 花粉をブサ綺晶である自分達が食べて消化して吐き出すものだから
絵的にゲロっぽくて問題がある? なーんだ、そんなことですか」
ブサ綺晶「?」
翠星石「水銀燈や生き損ないならともかく、翠星石はゲロの申し子である桜田ジュンのドールですぅ。
故にゲロにもさして抵抗はないですから、じゃんじゃん花粉を食べてゲロイヤルゼリーを作れですよ」
ブサ綺晶「きーっ」
翠星石「ふっふっふ。疑似とは言えロイヤルゼリーですか、なんだかとってもリッチな予感です」 - 88 :創る名無しに見る名無し:2013/03/25(月) 21:22:56.36 ID:XWk4qDTU
- §数時間後
水銀燈「それで私はそこで真紅にこう言ってやったのよ。『アンタはそうして精米しているのがお似合よぉ』ってね」
金糸雀「HAHAHAHA! サイッコーかしら水銀燈」
雪華綺晶「まさに黒薔薇のお姉様のブラックジョーク炸裂ですわ」
蒼星石「その時の真紅の顔が目に浮かぶようだ」
めぐ「ねぇ、だんだんと外が暗くなってきたけど翠星石ちゃんは大丈夫かしら?」
一葉「うん? そう言われれば……」
蒼星石「特に大きな騒ぎ声とかも聞こえなかったから問題なく花粉を集められていたんじゃないのかな?」
水銀燈「途中で飽きて、もう帰っちゃったんじゃない?」
一葉「まさか」 - 89 :創る名無しに見る名無し:2013/03/25(月) 21:27:50.01 ID:XWk4qDTU
- ???「おぉ~い」ズシーンズシーン
蒼星石「? 庭園の方から誰か来る」
金糸雀「と言うか、あの声は翠星石かしら」
???「全然花粉症にならねーですよぉ~~」ズシーンズシーン
雪華綺晶「この地響きは一体……?」
翠星石「ぐぇっぷ! もう花粉は食えねーですぅ」ズシーン
めぐ「でかっ!? 二まわり……いや、十倍くらい大きくなってるじゃない翠星石ちゃん!」
金糸雀「マツコデラックスかと思ったかしら」
ブサ綺晶達『きーっ! ききき!』
蒼星石「なになに? 自分達が集めた花粉やロイヤルゼリーをひたすら食べ続けていたら、ここまで巨大化した!?」
翠星石「いやはや花粉のパサパサとゼリーのとろみは実によく合うです」ズシーン
水銀燈「なんてこと……ほとんど女王蜂と同じ食生活じゃない」
蒼星石「女王蜂と働き蜂の違いはロイヤルゼリーを食べたか否かだけだと言うが
薔薇乙女でもロイヤルゼリーを食べると女王化するのか……?」
雪華綺晶「ではひょっとして、この豊満な姿こそがアリス?」
一葉「単に食べすぎなだけではないのか」
翠星石「と言うですか、ここまで体を張ったのにクシャミどころか鼻水の一滴すら出ないですよ」
蒼星石「翠星石の花粉に対する閾値は随分と高いようだ」
めぐ「残念だったわね翠星石ちゃん。花粉症になれなくて」
翠星石「なんだかもうお腹がいっぱいになりすぎて花粉症なんか、どーでもよくなったですぅ。
今日はもう帰るです。ブサ綺晶達もよく働いてくれてサンキューですよ」
ブサ綺晶達『うききっ』
翠星石「それでは御機嫌よう……て!? 鞄が飛ばねーです!?」ズシッ
水銀燈「重量オーバーよ」
雪華綺晶「歩いて帰らないと駄目ですわね」 - 90 :創る名無しに見る名無し:2013/03/25(月) 21:33:20.95 ID:XWk4qDTU
- §そんなこんなで徒歩で帰宅
翠星石「たーだいまっですぅ!」デップリ
ジュン「このやろ! 体中に花粉つけまくって帰ってくるんじゃねーよ!!
ただでさえ、ヒラヒラした衣装で微粒子を纏いやすいってのに!!」ベプシュ
真紅「少しは体をはたいてから家に上がりなさい!!」クシュッ
雛苺「何かの嫌がらせなのー!?」ブチュッ
翠星石「おうおう、この巨大化したクイーン翠星石様のメタモルフォーゼっぷりよりも
目に見えない微粒子の方に大騒ぎするたぁ、本当に視野も肝っ玉も小せぇ奴らですぅ」
ジュン「やかましい!」
翠星石「……ゲェーーップス」もわ~ん
真紅「ゲップ!?」
翠星石「おっと、これは失礼。乙女としたことが人前でゲップだなんて恥ずかしいですね」
ジュン「はーくしょっ! へぶしょっ!」
真紅「へっぷちょん! びひっきしょん!」
雛苺「あっちゅん! こ、これただのゲップじゃないのよ!?」
翠星石「……しこたま花粉を食ったですからね。ゲップも花粉100%ですよ」
ジュン「いっきし! ほんと、お前ふざけんなよ! はっぷしょ!」
真紅「ほとんど、歩く花粉タンク、いえ、花粉の総合商社じゃない!! ぴっきし!」
翠星石「ふぅ……。翠星石はただ、チビ人間達と花粉症を共有したかっただけですのに、ここまで裏目に出るとは。憂鬱ですぅ」
雛苺「あっくちゅ! 翠星石よりもヒナ達の方がユーウツなのよーー!!」
この後も翠星石は三日三晩、事あるごとに花粉を放出し続け、桜田家の面々に非常にうっとうしがられたそうな。
翠星石は花粉症に憧れる 【了】
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