水銀燈と金糸雀のハロウィン作戦
- 110 :創る名無しに見る名無し:2012/10/24(水) 20:43:22.87 ID:ZLlVHVIH
- 私の名前は水銀燈。誇り高きローゼンメイデン第一ドール。
今日この日は、ある決意を胸に桜田家へと歩を進めている。
- ,.:‐v‐ァ'7、
/⌒>‐く‐<`ヽ
l ::/::△│△ヽ:| ちょっと待ってかしら~! 水銀燈~! 早い!!
ヽ{::::トy‐vr::::_レ あなた歩くの早すぎるのかしら~~!
`ミ([{.∞}]ミつ
/(__ハ_)
`しテ′
後ろから付いて来る、この見るからに間抜けな格好をしているのは金糸雀。
これでもローゼンメイデン第二ドール。そう、私のすぐ下の妹でもある。 - ,.:‐v‐ァ'7、
- 111 :創る名無しに見る名無し:2012/10/24(水) 20:47:46.45 ID:ZLlVHVIH
- 金糸雀「こんなに大きなカタツムリを見つけちゃったかしら! ね? すごくない? ほら、水銀燈も見て見て!」
水銀燈「……」スタスタ
金糸雀「ふわ!? か、華麗にスルーかしらッ!?」
水銀燈「……」スタスタ
金糸雀「ちょっとー! 少しは愛想良くしてかしら水銀燈! 今日の作戦は愛想も大切になるかもなのよ? 愛想も」
水銀燈「愛想ふりまくだなんて、小っ恥ずかしい真似できるわけないでしょ」
金糸雀「顔出しが恥ずかしいのならカナみたいに、このカボチャを被ればよかったかしら。水銀燈の分も用意していたのに」
水銀燈「あのねぇ、いくら作戦とは言え、この誇り高き薔薇乙女の長女である私が、そんなふざけた格好もできるわけない」
金糸雀「はいはい。逆十字様は本当にプライドの高いお方かしら……。
現代日本じゃカナ達の素の格好が既にふざけた部類に入るというのに」
水銀燈「……」ギロッ
金糸雀「じょじょじょ、冗談かしら! もちろん現代日本の感性がお父様のセンスを理解できていないだけ……!!」 - 112 :創る名無しに見る名無し:2012/10/24(水) 20:50:24.54 ID:ZLlVHVIH
- 水銀燈「……で、作戦の方を確認するけど、今日はハロウィンだから
桜田家に押し入り暴れ回ってお菓子を強奪しても、全く不自然じゃない……と?」
金糸雀「その通りかしら。誰の良心も咎めることのない完璧なプランかしら。ハロウィン万歳。 そして桜田家の三馬鹿は
お菓子が無くなると急激にパワーダウンするかしら。それはもう、ホウレン草を失ったポパイのごとく」
水銀燈「本当なのでしょうね、それ? そもそもハロウィンってこんなイベントだったっけ?」
金糸雀「日本でのこういう外来イベントは、元ネタから遠ざかってしまっているのが
フツーかしら。クリスマスしかりバレンタインしかり」
水銀燈「……」
金糸雀「カナのリサーチに狂いは無し。日本でのハロウィンとは
仮装した子供達が家に押し入り、欲望のままにお菓子を強奪する日かしら」
水銀燈「よくもまあ、そんな乱暴を許容できるわねぇ日本人は」
金糸雀「ナマハゲとかの風習が元々あるからかしら」
水銀燈「……昔、女湯に乱入したナマハゲが逮捕されたりしなかった?」
金糸雀「さあ? そんな事件はカナは知らないわ。そんなことよりも水銀燈……」
水銀燈「分かってる。首尾よくあいつらのミスティカが手に入ったら、3つのうち2つは私が貰うけど1つはアンタに譲る」
金糸雀「くふふふふ、期待しているかしら水銀燈」 - 113 :創る名無しに見る名無し:2012/10/24(水) 20:54:34.89 ID:ZLlVHVIH
- 金糸雀のような賢いバカの作戦に乗るだなんてこと普段の私ではありえない。だが、しかし
敢えていつもの自分とあべこべの判断を下すことが事態の打破に繋がるという展開も過去には何度かあった。
おばちゃんA「あらぁ~、可愛らしいカボチャちゃんねぇ~」
金糸雀「か、かしら!?」
おばちゃんB「ハロウィンの仮装? 似合ってるわよ~!」
おばちゃんC「そうだ! 飴ちゃんあげましょう! 飴ちゃん」
金糸雀「あ、ありがとうかしら~っ!」
アリスゲームが膠着して久しい今、どのようなバカげた行いでも、それが進歩の楔として……
水銀燈「……て、何やってんのよ金糸雀!!」
金糸雀「え? あ?」
おばちゃんA「あら? お友達? こっちは何の仮装? 魔女?」
おばちゃんB「これアレじゃない? ゴロリって言うやっちゃ」
水銀燈「誰がわくわくさんの助手よ。それを言うならゴスロリ」
おばちゃんC「あらら、間違えちゃってごめんなさいね~。はい、それじゃお嬢ちゃんには飴ちゃん3つあげましょうね~」
水銀燈「え? ちょ!? そんな無理やり渡されても……」
おばちゃんC「いいから、いいから~」
金糸雀「3つも貰うなんて水銀燈はいやしんぼかしら」 - 114 :創る名無しに見る名無し:2012/10/24(水) 20:55:49.98 ID:ZLlVHVIH
- おばちゃんA「それじゃ車に気をつけてね~」
おばちゃんB「可愛いカボチャに魔女さん、頑張って一杯お菓子貰うのよ」
おばちゃんC「またね~」
水銀燈「……魔女でもないっつーの」
金糸雀「いやぁ、おばちゃんパワー炸裂かしら」コロコロ
水銀燈「アンタって貰った食べ物をすぅぐ口に入れるわねぇ……」
金糸雀「でも、これで自信がついたんじゃない水銀燈? 見ず知らずの通りすがりのおばちゃん達ですら
飴玉をくれたかしら! 民家に押し入っても同じノリでお菓子ゲットよ!!」
水銀燈「だと、いいんだけど」
金糸雀「ダイジョブダイジョブ! 何度も言うようだけどカナのプランはパーペキ!
タイタニックに乗ったつもりで……ゲヘッ! ぐぁ! がっ……ごふ!? あ、飴ちゃんが……喉……に!?」
水銀燈「やれやれ、食べながら喋るからよ……」 - 115 :創る名無しに見る名無し:2012/10/24(水) 20:59:01.23 ID:ZLlVHVIH
- §小一時間後・桜田家前
水銀燈「さーて、なんだかんだで敵の本拠地に到着。では、早速……」
金糸雀「すとーーっぴ! ちょっと水銀燈! 今、何をしようとしたのかしら!?」
水銀燈「何って? 呼び鈴を鳴らそうかと」
金糸雀「全っ然、今回の作戦を理解してないじゃない! そんな普通のお客様みたいなノリで桜田家に入っちゃ駄目かしら」
水銀燈「はぁ?」
金糸雀「カナ達はハロウィンの暴徒よ! 嵐のように民家に押し入り、木枯らしのように全てを奪い、旋風のように去る!
それがハロウィンの作法! チャイム鳴らしてお邪魔しま~す、なんてのはもっての他!」
水銀燈「……それじゃ、ガラスぶち破って入ろうってのぉ? 物を壊すと、あとあと面倒じゃない?」
金糸雀「水銀燈の言うことにも一理あるかしら。だから、ひとまずは桜田家の庭に潜入かしら」
水銀燈「……」
金糸雀「もうじき、ゴミ出しのためにのりが勝手口の扉を開く時間のはずよ。
そのチャンスを逃さず、スパッと潜入! コソッとお菓子強奪! かしら!」
水銀燈「なんだかコソ泥じみてきたわねぇ。気が重くなってきた」
金糸雀「蒼星石のミスティカを横取りしたことあるくせに、よく言うかしら」
水銀燈「……」ギロッ
金糸雀「じょ、ジョーダン! 冗談かしら!」
水銀燈「で、庭って言っても、そこそこ広いわよ。どこに隠れるの?」
金糸雀「ふっふっふ。カナがいつもこっそりと隠れている裏庭の茂みがあるかしら。
そのスポットでなら、きっかり安全安心確実にチャンスを伺えるかしら」
水銀燈「はいはい……、じゃ、そこへさっさと案内して頂戴」 - 116 :創る名無しに見る名無し:2012/10/24(水) 21:03:06.76 ID:z84dR3Fe
- 金糸雀「じゃじゃーん。ここよ! ちょっと狭いけど、つめれば二人隠れられるかしら。
それじゃ、まずカナが茂みに入るから……」
水銀燈「……」
金糸雀「よっこらせっと……アレ? んん? あら?」ガサガサ
水銀燈「何してんのよ? 全然、隠れられてないじゃないの」
金糸雀「あ、頭のカボチャが茂みの枝葉に引っ掛かって……」
水銀燈「ええい! 脱ぎなさいよ! そんなモノ!!」
金糸雀「しーっ! 大声を出したら真紅達に……っ!」
水銀燈「!?」 - 117 :創る名無しに見る名無し:2012/10/24(水) 21:08:46.06 ID:z84dR3Fe
- 翠星石「……なんだかうるさいですね、ネコでも喧嘩しているのですか」ガチャッ
- ,.:‐v‐ァ'7、
/⌒>‐く‐<`ヽ
l ::/::△│△ヽ:|
ヽ{::::トy‐vr::::_レ
`¨-^-^-´
翠星石「おや? アレは……」 - ,.:‐v‐ァ'7、
- 118 :創る名無しに見る名無し:2012/10/24(水) 21:13:22.26 ID:UvLvcC+H
- 翠星石「なんで、こんなところにハロウィン仕様のカボチャが落ちているです? チビ人間が作ったのですか?
なら、こんなとこに放置せずにちゃんと正面玄関の方に置かないと。詰めの甘いやっちゃですねぇ……」ヒョイ
金糸雀(あああ……カナが徹夜で作ったカボチャヘッドがぁぁぁ……持っていかれたかしら)
水銀燈(諦めなさい。どうせ、こうして茂みに隠れるためには邪魔だったんだから。
そんなことより今、翠星石が開けた勝手口のドアから入れるわよ!)
金糸雀(で、でも! カボチャマスクが無かったら、ただの不法侵入かしら)
水銀燈(……カボチャ無しで侵入しようとしていた私はどうなるのよ?)
金糸雀(だってもともと水銀燈はダーティでギルティなメイデンだけれども
カナはピュアでクレバーなメイデンかしら! イメージ的に事務所からNG出るかしら)
水銀燈(ア・ン・タねぇ~~~~っ!?)
金糸雀(じょ、ジョーダン! 冗談かしら! ほ、ほら! 今、水銀燈も言った通り、早く勝手口から潜入しましょ!) - 119 :創る名無しに見る名無し:2012/10/24(水) 21:18:58.35 ID:UvLvcC+H
- §桜田家・リビング
金糸雀「ふっふっふ、誰にも気づかれずに潜入成功かしら」
水銀燈「ハロウィン作戦なんだから、入ってしまえば見つかってもいいんじゃないの?」
金糸雀「見つからなければそれに越したことは無いかしら」
水銀燈「ああ、そう……」
金糸雀「ではでは、お菓子が保管されている戸棚へゴーかしら水銀燈! 慎ましくね」
水銀燈「はいはい……」
金糸雀「む!? ちょっとタンマかしら水銀燈」
水銀燈「今度は何?」ぴたっ
金糸雀「戸棚の前に誰かいる」
水銀燈「……?」
金糸雀「どうやらカナ達の先客のようかしら。あれは……」
雛苺「うー……ゆゆゆ……」ガチャガチャ
金糸雀「雛苺?」こそっ
水銀燈「戸棚の前で何を唸ってるのよ、あの子は?」こそっ
金糸雀「うーん……? 相手から気付かれないよう離れているこの距離からじゃ雛苺の様子がよく分からないわ……」
雛苺「むー! もう、いいのよ! どうせ、中のオヤツは酸っぱいオヤツなの!」ぷいっ
水銀燈「戸棚から離れた……」
金糸雀「何か捨て台詞を吐いていたけど、雛苺は一体何をしていたのかしら?」
水銀燈「とりあえず今のうちに戸棚を調べましょう」 - 120 :創る名無しに見る名無し:2012/10/24(水) 21:21:33.74 ID:z84dR3Fe
- 金糸雀「あ!? あああっ!?」
水銀燈「こ、これは! 戸棚に錠前が……っ!?」
金糸雀「な、なんということかしら! お菓子の棚に鍵がつけられてしまっているかしら!!」
水銀燈「雛苺はこれを開けようとしていたのね」
金糸雀「こんな馬鹿な。カナのリサーチではここに鍵なんてついていなかったはず……」
水銀燈「ちっ! 何が完璧な調査済みよ」
金糸雀「う、くくく……。こうなったら実力行使かしら水銀燈!」
水銀燈「?」
金糸雀「ほら、剣でスパっと」
水銀燈「そんな彼岸島みたいな真似できるわけないでしょ。大体、私だっていつも剣を持ち歩いているわけじゃないし」
金糸雀「肝心な時に役に立たないかしら」
水銀燈「なんですってぇ」 - 121 :創る名無しに見る名無し:2012/10/24(水) 21:23:53.65 ID:z84dR3Fe
- 金糸雀「しょうがないかしら。ならばここは手先の器用なカナが本気を出すしかなさそうかしら」
水銀燈「?」
金糸雀「さて、ここに取り出したりまするは台所に転がっていたクリップ」
水銀燈「……」
金糸雀「これを伸ばして……と」くいくい
水銀燈「アンタ、まさか……?」
金糸雀「くふふふ、こんな錠前ごときカナの手にかかればチョロいかしら」かちゃかちゃ
水銀燈「ピッキングじゃない、それ」
金糸雀「ダイジョブダイジョブ。今日はハロウィン、無礼講かしら」
水銀燈「……」
金糸雀「ほぉら、あっという間に錠前がオープンかしら」カキッ
水銀燈「早っ!? 凄いけど……ちょっと引くわぁ」 - 122 :創る名無しに見る名無し:2012/10/24(水) 21:36:03.72 ID:ZLlVHVIH
- 金糸雀「ふふふ、鍵だなんて小賢しい真似を弄してくれたけど、それもここまで。
さて、戸棚の扉を開いて、溢れるお菓子を頂くかしら……」
水銀燈「それでもって弱体化した真紅達を倒してミスティカゲット……ね」
金糸雀「開けゴマ~~」ガラッ
/| ̄ ̄ 戸棚の中  ̄ ̄|
/:::::::|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
|:::::::::::|| .ィ/~~~' 、 |
|:::::::::::|| 、_/ /  ̄`ヽ} .|
|:::::::::::|| ,》@ i(从_从)) |
|:::::::::::|| ||ヽ|| ^ω^ノ | むしゃむしゃ
|:::::::::::|| と ). |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ - 123 :創る名無しに見る名無し:2012/10/24(水) 21:39:13.95 ID:ZLlVHVIH
- 金糸雀「……」パタン
水銀燈「……」
金糸雀「……」
水銀燈「ちょ、ちょっと、どういうことよ! なんで真紅が中に居たのよ!? 開いたら出てくる新手のスタンド能力?」
金糸雀「知らない! 分からないかしら! ききき、きっと見間違いよ!! もう一度開けてみましょ」ガラッ
/| ̄ ̄ 戸棚の中  ̄ ̄|
/:::::::|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
|:::::::::::|| .ィ/~~~' 、 |
|:::::::::::|| 、_/ /  ̄`ヽ} .|
|:::::::::::|| ,》@ i(从_从)) |
|:::::::::::|| ||ヽ|| ^ω^ノ | むしゃむしゃ
|:::::::::::|| と ). |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ - 124 :創る名無しに見る名無し:2012/10/24(水) 21:40:23.27 ID:ZLlVHVIH
- 金糸雀「……」パタン
水銀燈「何が見間違いよ!! やっぱりガッツリしっかり居やがるじゃないのよぉ!」
金糸雀「ふわわわわわ……」
水銀燈「『ふわわわ』じゃない! 金糸雀アンタ私を嵌めたわね!?」
金糸雀「え!? ええっ!?」
水銀燈「どうもおかしいと思ったわよ! 私と協力するフリをしながら
その実、真紅達と通じて、この私を桜田家にまんまと誘い込んだ!!」
金糸雀「そ、それは違う! カナだって今、何が何だか分からないのよ! ホントかしら~!」
水銀燈「言い訳無用! ウナギは土用!」 - 125 :創る名無しに見る名無し:2012/10/24(水) 21:46:06.41 ID:ZLlVHVIH
- /| ̄ ̄ 戸棚の中  ̄ ̄|
/:::::::|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
|:::::::::::|| .ィ/~~~' 、 |
|:::::::::::|| 、_/ /  ̄`ヽ} .|
|:::::::::::|| ,》@ i(从_从)) | ちょっとうるさいわよ貴女達
|:::::::::::|| ||ヽ|| ^ω^ノ | ジュンやのりに気付かれるじゃない
|:::::::::::|| と ). |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
金糸雀「うわっ!? 自分で開けて出てきた!?」
真紅「そりゃ出るわよ。しかし、この真紅ちゃんの最もプライベートな時間の世界に入門してくるとは、どーゆー了見?」
水銀燈「どーもこーも、そもそもどうしてアンタが鍵のかかった戸棚の中にいたのよ?」
真紅「ハンドパワーです」
水銀燈「ふざけるのは顔だけにしなさい」
真紅「戸棚の裏側を壊して中に入って、あとは時間を巻き戻して破壊の跡を修復したのだわ」
金糸雀「うわあ……、無駄に能力をフルに使っての力技かしら」 - 126 :創る名無しに見る名無し:2012/10/24(水) 21:49:33.19 ID:ZLlVHVIH
- 真紅「げふー。で、貴女達は何の用? ひょっとしてドロボー?
長女と次女が揃ってこれじゃあ、薔薇乙女の威厳も地に落ちたものだわ」
水銀燈「お前が言うな。あとゲップしながら喋るな」
金糸雀「カ、カナ達はドロボーじゃないわ。ハロウィン特使として、桜田家のお菓子を頂きに来ただけかしら」
真紅「え? ハロウィン? そんな乱痴気騒ぎ目的で? 馬鹿の金糸雀はともかくとして
誇り高き薔薇乙女の長女であらせられる黒の逆十字様まで一緒に?」
水銀燈「ものすごい嫌味に言ってくれるわね。こっちはとうに調べが付いてんのよ。
アンタらからお菓子を奪えば、とんだ腑抜けになるってことをね」
真紅「あ、そう。でも、既にお菓子のあらかたはこの真紅の腹の中だわ。一手遅れたわね水銀燈」
水銀燈「う……」
金糸雀「す、水銀燈がカボチャを被る、被らないで時間喰ったせいかしら!」
水銀燈「ア、アンタだって道中でおばちゃんからアメ貰ったりしてチンタラしてたじゃない!」 - 127 :創る名無しに見る名無し:2012/10/24(水) 21:54:07.31 ID:ZLlVHVIH
- ???『おーい? 誰だぁ? リビングで騒いでいるのは~……』とてとて
真紅「む!?」
水銀燈「誰か来る? あの声は」
金糸雀「ジュン……!?」
真紅「忍法薔薇がくれ!」ドロン
水銀燈「え? あ? し、真紅!? どこへ?」
金糸雀「真紅が消えたかしら!?」
ジュン「雛苺か~? 真紅か~? 何度やってもオヤツの戸棚のカギはのりしか開けられな……」ひょこっ
金糸雀「あ!」
水銀燈「あ!」
ジュン「お、お前ら……!?」
金糸雀「!?」←ピッキング用のクリップもったまんま
水銀燈「!?」←真紅を探して戸棚の中を覗き込んでた
水銀燈「あ、あの! 人間! こ、これはね……!」おたおた
金糸雀「勘違いしないでほしいかしら! 真紅が……」あたふた
ジュン「お、お前達はたまにふざけることはあっても、ここまで落ちぶれてはいないはずだと……」
水銀燈「だ、だから違うって」
金糸雀「誤解かしらジュン! カナ達はまだ何も……」
ジュン「馬鹿なのはウチのヤツらだけだと思っていたのに、やはり姉妹か」
水銀燈「ちょ、ちょっとぉ……」 - 128 :創る名無しに見る名無し:2012/10/24(水) 21:58:12.17 ID:ZLlVHVIH
- 翠星石「てぇへんだ! てぇへんだ~!! チビ人間、てぇへんですよー!!」ドタドタ
ジュン「翠星石?」
金糸雀「今度は翠星石が来たかしら」
翠星石「ぬおっ!? 既にここまで侵入していたですか金糸雀!! 水銀燈まで!?」
水銀燈「っ!?」
ジュン「何事だ、翠星石?」
翠星石「さっき拾ったカボチャを調べていたら、中にこんなものが入っていたのですぅ」
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
| 犯行声明書 |
| |
/  ̄ ̄ ̄ ̄ /
/ 戸棚の中の /
./ お菓子は頂いた ./
/ by ローゼン2世 /
/ ____ /
/ /
/ /
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ - 129 :創る名無しに見る名無し:2012/10/24(水) 22:02:24.59 ID:z84dR3Fe
- ジュン「は、犯行声明書!?」
翠星石「しかも、これはどう見てもカナチビの字です!!」
水銀燈「ちょ、ちょっとアンタ! あんなもの用意してたの!? て言うかローゼン2世て何!?」
金糸雀「いやいやいや! 洒落かしら洒落!! 作戦が上手くいった暁には
こういうウィットなジョークを残すのも乙女の嗜み……!」
水銀燈「洒落になってない!!」
ジュン「……ここまで証拠が揃っているんだ、もはや言い逃れはできんぞ二人とも」
水銀燈「違うのよぉ! 確かに証拠が揃いまくりだけど、私達は何もしてない!!」
金糸雀「そうかしら! お菓子を食べたのは真紅かしら!!」
ジュン「妹に罪をなすりつけるつもりか? それでもお姉ちゃんか!? お前達は!」
水銀燈「だ、だってぇ……!!」 - 130 :創る名無しに見る名無し:2012/10/24(水) 22:06:01.54 ID:z84dR3Fe
- 雛苺「うゆゆゆゆ、騒がしいのよ?」
真紅「全くなのだわ。落ち着いて読書もできやしない」
金糸雀「雛苺!」
水銀燈「それに真紅!! アンタ何をぬけぬけと……!」
真紅「な、何!? いきなりの不法侵入メイデンにガンつけられて真紅ちゃん、こわ~い!
ジュン、私を守って頂戴、抱いて頂戴」
ジュン「かわいそうに真紅。珍しくこんなに怯えて。仕方もないか、お前水銀燈のこと怖いんだものな……」
水銀燈「ちょっちょっちょ……!! 人間ッッ!? そんな真紅の見え見えの演技に騙されてんじゃあないわよ!」
雛苺「ああっ!? お菓子の戸棚が開いてるの! しかも中のお菓子が無くなってるの!?」
翠星石「カナチビと水銀燈が食べたのですぅ! 薔薇乙女の長女と次女は卑しいです!!
ハロウィンを都合よく解釈して勝手に他人の家で窃盗を働いたのですぅ!!」
金糸雀「!」
水銀燈「!」
雛苺「ひ、ひどいのよ! 人形のやることじゃあないの! 外道なのーっ!!」
金糸雀「違うかしら! カナ達は食べてないわ! 確かに、そうしようとは思っていたけど……」 - 131 :創る名無しに見る名無し:2012/10/24(水) 22:10:27.45 ID:z84dR3Fe
- 水銀燈「ともかく! 食べたのは真紅よ!!」
真紅「え!? ええ~~っ!?」
ジュン「苦し紛れの嘘をつくな。確かにウチの真紅は意地汚くて馬鹿だが
のりや僕との約束を破ってまでお菓子を食べたりはしない」
真紅「そうなのだわ! そうなのだわ! 私に罪を着せようだなんて
酷いのだわ! 名誉棄損なのだわ! 訴えるのだわ! 訴えて勝つのだわ!!」
水銀燈「訴えられるもんなら訴えてみなさい!!」
金糸雀「この際、大体何でもお見通しのラプラスの魔や雪華綺晶を証言に呼んでもいいかしら!!」
真紅「へー、そこまで言うのね。いい度胸だわ。そっちがその気なら私にだって考えが……ゲプッーー」もわ~ん
翠星石「ちょ!? 真紅、声を荒げながらゲップすんなですぅ。お下品ですよ」
ジュン「しょうがない奴だな……て、ん?」ひくひく
雛苺「くんくん、これはチョコ菓子の甘~い匂いなのよ!」
真紅「……」 - 132 :創る名無しに見る名無し:2012/10/24(水) 22:14:43.69 ID:z84dR3Fe
- ジュン「……真紅?」
翠星石「……真紅?」
真紅「……げふっ」もわ~ん
金糸雀「真紅……!」
水銀燈「真紅……!」
真紅「ふ……、今日のところはこれぐらいで勘弁してあげるわ。じゃ、そーゆーことで」スタスタ
ジュン「待てい」ガシィッ
真紅「な、なぁにジュン……? 乙女の頭を鷲掴みにするなんて、感心しないわよ」ジタバタ
ジュン「あれほど盗み食いしないと約束したのにお菓子を食べてしまったのは感心できるのか?」ギリギリギリ
真紅「ひいいいいいいいいいいい……っ!?」
水銀燈と金糸雀のハロウィン作戦 終
- 関連記事
-
-
J( 'ー`)し「初めまして。ローゼンの妻です」 2010/08/25
-
水銀燈とアナザーめぐ 2011/03/03
-
薔薇乙女AAで4コマ漫画チャレンジ 2020/06/22
-
2012/10/25 19:21:23 コメント12 ユーザータグ ローゼンメイデン